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<適少社会>被災地 人材充足やや高く

◎復興で経験積み成長か/平時の育成制度が課題

 被災から復興への苦闘が自治体職員を成長させたのかもしれない。東日本大震災の津波で被災した市町村は、地域活性化を進める人材の充足感が他の地域より比較的高いことが、大正大地域構想研究所(東京)の全国自治体アンケートで明らかになった。

 地域づくりに関わる職員のうち、住民や関係者間の合意形成を支援する人材について「足りている」「どちらかといえば足りている」と答えたのは、被災市町村が35%、それ以外の全国が15.7%だった=グラフ1=。
 専門性を活用して事業計画をまとめる人材は被災市町村の20%が「足りている」「どちらかといえば足りている」と回答したのに対し、全国は10.8%だった=グラフ2=。
 いずれの回答も不足感を示す市町村が多数を占めるが、被災地は全国と比べるとやや少ないのが特徴。震災後、住民の意見を踏まえた復興事業を展開する中で、経験を積んだ職員が増えた可能性がある。
 一方、高度な施策に取り組む人材の確保策について「自治体内部で養成する」と答えた被災市町村はなかった=グラフ3=。平時の職員育成システムをどう整えるかが課題となる。
 地方創生に向けた事業(複数回答)=グラフ4=は「自治体外からの移住促進」に80.0%の市町村が取り組むとした。「自然環境資源を活用したまちづくり」は全国より15ポイント以上高く、海と山に恵まれた環境を売り出す姿勢が強く表れる。
 大正大地域構想研究所の柏木正博副所長は、自治体の人材育成について「2、3年で部署が異動する人事システムでは、地域振興のスペシャリストが育ちにくい」と指摘する。
 被災地の地域振興に関しては「大勢の人が訪れた震災後の流れを持続できるかどうかがポイントだ。観光、移住の促進に限らず、地方が自ら望む施策を積み重ねなければ花は開かない」と話した。
 調査は2〜3月、地方創生の取り組みについて全国の都道府県と市区町村を対象に実施し、703自治体が答えた。岩手、宮城両県沿岸部で回答があった20市町村を被災市町村として全国と比較した。福島県の沿岸市町については原発事故の影響で状況が異なるため、全国に組み入れた。


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2016年05月18日水曜日


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