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<熊本地震>二つの被災地通し災害想定に苦悩

熊本地震の対応に追われる藤本さん=熊本市役所

 東日本大震災発生直後、被災した宮城県東松島市に応援に入った熊本市危機管理防災総室の藤本純二主査(47)が、災害レベルを想定する難しさを痛感している。担当する市地域防災計画の全面改訂中に、2回の激震に見舞われた。最悪の事態を念頭に置いて見直し作業に当たっていたが、読み切れない事象が重なった。二つの被災地を通し、藤本さんは想定を常に見直す重要性も感じ取っている。
 「来ちゃったか…」。4月14日午後9時26分、熊本市の自宅で前震に襲われた藤本さんは、唇をかんだ。
 震災後、熊本市は約20年ぶりに防災計画の全面改訂に着手し、藤本さんは作業の中軸を担っていた。2017年度までに計画を改める予定で、結果的に今回の地震には間に合わなかった。
 「計画が完成していれば、避難所運営や救援物資配布などの初動がうまくいった可能性はある。ただ、実際は想定以上のことが幾つも起きてしまった」
 5年前は土地区画整理事業の担当だった。11年3月末、熊本市が東松島市へ派遣する応援職員の第1陣に迷わず手を挙げた。「大変な状況。早く行かなければ」。混乱が続く東松島で1週間、ボランティアの調整や被災家屋の片付けを支援した。
 13年4月、熊本市危機管理防災総室に配属された。東松島での経験を振り返り、「防災の重要性を再認識した」という。
 改訂に当たり、藤本さんは布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯を震源とする最大震度7の地震発生を想定。今回、計算通りだった。ただ、「2回」は想定していなかった。計画上の緊急輸送道路は通行止めで機能しない。避難者は予想の2倍の最大11万人。備蓄はすぐ底をついた。大勢の市民が車中泊する事態も読み切れなかった。
 「震災の想定外を教訓にしたはずが、実際は計算して出した机上の想定を信じ、むしろ安心材料にしてしまった。内心、まだ先のことと思い込んでいた」
 熊本地震の被害実態を基に、防災計画を再度練り直すという。「次も、想定外を繰り返すのは許されない。熊本地震を超える事態も起こり得るとの心構えで、早急に備えを進める」。藤本さんの模索が続く。(報道部・斉藤隼人)


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2016年05月19日木曜日


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