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<衆院改革>定数10減改正法成立

◎地方軽視懸念に拍車

 衆院選挙制度改革に向けて議員定数を10減らす改正公選法が成立した。参院選は今夏から隣接選挙区を統合する「合区」が導入され、「1票の格差」是正に伴う地方選出議員の削減が衆参両院で進む。人口の少ない地域の声が軽視される懸念に拍車が掛かる中、全国知事会や自民党で参院議員を都道府県単位の「地域代表」と位置付ける憲法改正で打開を目指す動きが出ている。

<自民幹事長が注文>
 「早晩、大都市を代表する衆院議員は非常に多く、過疎地を代表する議員は少ない状態になってしまう」
 自民党の谷垣禎一幹事長は法改正後の記者会見で、今後の課題をあえて指摘した。与党提出の議員立法に注文を付けた背景には、党内に膨らむ選挙制度改革への不安があるのは間違いない。
 今回の法改正は小選挙区定数を「0増6減」、比例代表を「0増4減」する内容。今後の国勢調査結果に沿ってさらなる定数見直しが想定される。ある閣僚経験者は「地方の過疎化と都市部への人口流入は続く。次は自分の選挙区が減らされると考える自民党議員は多い」と打ち明けた。
 復旧、復興に取り組む被災地の議員の声も深刻だ。自民党の鈴木俊一元環境相(衆院岩手2区)は「東日本大震災の被災地の声が小さくなり、復興にはマイナスだ」と主張。坂本哲志副幹事長(衆院熊本3区)も「国会の決定は受け入れるが、地方の発言力が弱まらないか」と危ぶむ。

<選挙無効に現実味>
 選挙制度改革を事実上、後押しするのは最高裁だ。1票の格差を巡り2009、12、14年の衆院選をいずれも「違憲状態」と判断。与党は、選挙制度を見直さなければ「最高裁による選挙無効の判断が現実味を増す」と追い立てられた。
 安倍晋三首相は今国会中の法改正にこだわり、水面下で自民党側に対応を促した。民進党の前身の民主党から政権を奪還した12年衆院選の前に、当時の野田佳彦首相と党首討論で定数削減を約束した経緯もあり「衆院解散権の正当性が疑われる状況は何としても避けたかったのだろう」と官邸筋は推し量る。

<知事会は議論続く>
 「都道府県の果たしてきた重要な役割を踏まえ、憲法改正にまで踏み込んで、参議院に地域代表制を明確に位置付ける」。全国知事会が今年4月にまとめた提言案はこう明記し、参院選で合区が導入されることへの危機感を鮮明にした。
 参院側は、最高裁の「違憲状態」判断に対応するため、昨年7月に「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区を含む定数「10増10減」の改正公選法を成立させた。都道府県単位だった選挙区の統合は1947年の第1回参院選以来、初めてだ。
 知事会の提言案は、改憲によって参院を「地方の府」と位置付ける構想を示した。知事会内に慎重論もあり、正式な提言決定へ議論は続行中だ。
 自民党内でも、地方の声を国政に反映させるため、同様の改憲を求める意見が少なくない。ある中堅議員は「憲法が規定する二院制の下で、衆参が互いの定数、役割について意見し合うことが少なすぎた」と反省する。
 大島理森衆院議長は会見で「人口動態の激しい変化を立法府全体でどう考えるか、根本から議論しなければならない」と述べ、衆参両院にわたる選挙制度改革の必要性を強調した。


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2016年05月21日土曜日


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