福島のニュース

<あなたに伝えたい>野球漬け 心優しい一人息子

潤也さんが草野球の試合で活躍する写真を眺める昭子さん

◎渡辺昭子さん(福島市)潤也さんへ

 昭子さん 消防団員だった潤也は、いつも夜警の後に鍋を囲むなど、仲間と集まるのを毎回楽しみにしていました。
 地震後、地元に残る消防団員として出掛けていきました。沿岸でぎりぎりまで高台への避難を呼び掛けていたようです。「あの声で逃げられた」「潤也に助けられた」と何人もの人にお礼を言われました。
 小学4年から野球漬けの毎日で、双葉高野球部では1年生からレギュラーでした。2年の夏にはあと1勝で甲子園だったんです。
 理容室を継いだ後も、相馬市のクラブチーム「相双中央シニア」の監督になり、子どもの指導に熱心でした。同じ浪江出身の横山貴明投手(現東北楽天)をかわいがっていましたね。
 恵まれた体格の割に心優しかった一人息子。せめて自分の手で葬れれば少しは気も収まったのに…。自宅も潤也も簡単にさらっていった海には、今でも近づく気になれません。
 福島市に新居を建てて3年たちました。長男は野球ではなくバドミントンを選んでしまいましたが、よくしゃべる素直な子に育っていますよ。長女は4月、仙台で大学生活を始めました。
 家でふさぎ込む時間が長かった私に、恐山のイタコを通して「楽しめることを見つけたら出掛けてほしい」と言ってくれたよね。今は福田こうへいさんのコンサートに出掛けるのが楽しみで、仲間も増えました。穏やかに過ごせるよう、これからも見守っていてください。

◎避難呼び掛けた浪江町の消防団員

 渡辺潤也さん=当時(36)= 福島県浪江町請戸の理容室兼自宅で、母の昭子さん(67)と義父、妻、長男、長女、叔母の7人暮らしだった。地元の消防団員として避難を呼び掛けるさなかに津波に流されたとみられ、今も行方が分かっていない。


2016年05月29日日曜日


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