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<適少社会>地方と一体感 築き直す

4月にオープンした国内最大の高速バスターミナル。地方と東京。人の流れはどう変わるのか=東京都新宿区のバスタ新宿

◎人口減 復興のかたち[44]第9部一極集中の足元(4完)共存共栄

 「独り勝ちだとしかられるが、東京はつらい思いもしている。一極集中でふんぞり返ってはいない」
 東京23区の特別区長会は4月末、自治体間の連携をテーマにした全国シンポジウムを都内で開いた。会長の西川太一郎荒川区長(74)は東京の立場を率直に語った上で、首長や行政関係者に呼び掛けた。
 「地方に支えられ、東京は成り立っている。互いの知恵や力を生かし、課題を解決していこう」
 23区には都民の7割、約930万人が暮らし、人材や企業が集まる。一極集中の総本山だ。
 「東京は税収が地方に行くことを、地方は東京へ人材が集中することを、互いに不満に思っている」。西川区長が言うように、東京と地方の関係は対立の構図で語られることが多い。
 法人事業税は08年度、法人住民税は14年度、それぞれ一部が国税化され、地方に配分される仕組みになった。都は08〜14年度、自主財源として使えるはずだった約1兆183億円が地方に流れたとみる。
 一方、地方衰退への危惧もある。都の合計特殊出生率は1.17(15年)で、1973年以降、全国最下位が続く。東京の人口と活気は自然増だけではなく、地方からの人口移動で支えられてきた。流入が減れば少子高齢化は一気に加速する。

 地方との一体感を築き直そう。特別区長会は14年、「全国連携プロジェクト」を始めた。23区以外の全国1718市町村に呼び掛け、東北の30市町村を含む193市町村が参加する。
 インターネットで連携可能な事業の情報を交換。市区町村が広くつながり、互いに地域課題の解決を目指す。
 人口減への危機感とともに、連携の機運を後押ししたのが東日本大震災だ。首都大学東京大学院の大杉覚教授(行政学)は「震災をきっかけに遠隔地の自治体間で災害協定を結ぶ動きが活発化し、連携の形が多様化した」と指摘する。

 震災後、23区は計延べ約6700人の職員を被災自治体に派遣した。現在も約100人が現地で汗を流す。
 世田谷区世田谷総合支所地域振興課の志村有司係長(59)は14年度から2年間、宮城県南三陸町に派遣された。「激務だったが、南三陸は第二の古里になった」。経験を生かし、東京で防災啓発を担当する。今も休みを利用して数カ月ごとに町へ通い、ボランティア活動をしたい区内の団体と被災地のニーズを結ぶ役割も果たす。
 「職員は復興へ必死に努力し、悩んでいる人に寄り添い、鍛えられて帰ってくる」。被災地派遣で東京の自治体は大きな成果を得たと、西川荒川区長は話す。
 「人口減時代を迎え、日本全体の衰退が懸念される。地方と東京が対立したままでは解決しない。ウィンウィン(相互利益)をどう築くか」。震災で強まった連携を礎に、西川区長は共存共栄の形を考える。


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2016年05月29日日曜日


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