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<地震地域係数>「地震少ない」誤解生む恐れ

中林一樹(なかばやし・いつき)福井大工学部卒、東京都立大(現首都大学東京)博士課程単位取得退学。都立大助教授、教授を経て、11年から明大大学院特任教授。13年1月に日本災害復興学会会長に就任。福井県出身。68歳。

 日本災害復興学会長の中林一樹明大大学院特任教授(都市防災学)に、地域係数の在り方などを聞いた。

 −地域係数の本来的な意味は。
 「戦争の空襲で全国240万戸の住宅が焼けた。係数を導入した当時は経済的に安く、たくさんの鉄筋コンクリートなどの住宅団地を造る必要があった」
 「今や建築を急ぐ時代ではない。しっかりしたストック(建築資産)を造って長持ちさせる時代。とにかく早く建物を造らせるような意味合いを持つ地域係数は廃止し、全国で耐震基準を同一にすべきだ」

 −熊本地震の被災地は地域係数が低かった。
 「阪神大震災以降、震度7の地震は4回。うち3回が内陸型地震。阪神と新潟県中越、熊本だ。新潟、熊本両県の係数は0.9か0.8。これはおかしい。地震が少ないという誤解を与える」
 「建築関係者は『うちの地域は0.9だから、地震は来ない』という感覚で住宅を建てる可能性もある。モラルが低下し、結果的に木造住宅は弱くなる」

 −基準を強化すれば、新しい基準を下回る「既存不適格建築物」が生まれる。
 「既存不適格は違法ではなく、住み続けられる。むしろ『あなたの家は0.9や0.8の地域にあり、地震に弱い』と言うべきだ。国が補強費用を助成するなど耐震化の推進が重要。東日本大震災や東京五輪の需要がなくなれば、建築業界は大不況に陥る。そうした状況の穴埋めにもなる」


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2016年05月30日月曜日


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