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<三鉄>「復興貢献」21歳女性運転士の卵奮闘

宮古駅で窓口業務に当たる宇都宮さん

 岩手県宮古市の第三セクター三陸鉄道に今春、同市出身で元私鉄社員の宇都宮聖花さん(21)が運転士候補として入社した。三鉄には2006年まで女性運転士がいたが、後継が誕生していない。憧れの運転士デビューは早ければ2年後。東日本大震災で被災した経験を生かし、「復興や沿線のにぎわいに貢献したい」と張り切る。
 「三鉄の車両はディーゼルエンジン独特の振動がある。頑張っているようで、かわいらしいんです」
 笑顔で話す宇都宮さんは子どもの頃から鉄道ファン。祖父母に連れられて三鉄に乗るたびに、三陸の自然を映す車窓にかじり付いた。
 震災時は同市鍬ケ崎に住んでいた。家族は無事だったが、小学生時代を過ごした田老の町は津波で壊滅的な被害に遭い、友人や知り合いを亡くした。
 宮古商高を卒業後、西武鉄道に入社して東京都内で暮らした。運転士を目指して駅員として働いたが、被災した故郷のことが頭から離れなかった。
 昨年夏に帰省した際、三鉄宮古駅から北リアス線に乗り、車窓からの風景を眺めた。震災で街並みは変わっても、海や山は幼い頃に見たままだった。
 大好きな三陸の景色と空気に触れるうちに「復興に役立ちたい」との思いが募り、三鉄の入社試験を受けることを決めた。
 西武鉄道の同僚は「三鉄に乗りにいくよ」と励ましてくれた。同期社員とは「いつかお互いが運転する車両に乗ろう」と約束した。
 三鉄で宇都宮さんを指導する北リアス線運行部運転総括の山崎智巳さん(51)は「鉄道の知識があり、しっかりした性格。お客さんに愛される運転士になってほしい」と期待する。
 現在は実家で暮らす。車掌や駅の窓口業務をこなしながら、車体の構造や運転方法を学び、運転士の国家資格試験に備える。
 「不安はあるが、応援してくれる人が大勢いる」と宇都宮さん。「早く一人前になって、運転する車両で多くのお客さんを運び、三陸の自然や復興に向かう沿線の人々の姿を見てもらいたい」と語る。


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2016年06月01日水曜日


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