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<Eパーソン>アニメで地域に活気

浅尾芳宣(あさお・よしのり)米マサチューセッツ芸術大卒。14年11月から現職。親会社ガイナックス(東京)ではアニメーション製作本部長。大阪芸術大准教授も務める。47歳。福島市出身。

 東京電力福島第1原発事故で生じた福島の負のイメージを、アニメの力で吹き飛ばす。福島ガイナックス(福島県三春町)は県内の自治体と連携して作品制作を続ける。「新世紀エヴァンゲリオン」を手掛ける制作会社が同社を設立して間もなく1年半。浅尾芳宣社長に手応えと展望を聞いた。(聞き手は福島総局・高橋一樹)

◎福島ガイナックス 浅尾芳宣社長

 −設立は2015年1月。ガイナックス(東京)として初の子会社となった。
 「原発事故で避難した住民が戻らない、戻れないという(津波被災地とは異なる)福島特有の問題が見えてきていた時期だった。中でも小中学校の閉校は象徴的だった」
 「地方スタジオを設けて人材を育てる計画は既にあり、福島の旧校舎を利用することになった。制作現場を体験できるミュージアムを併設し、子どもを呼べれば活気を戻せると思った」

 −自治体とタッグを組んでいる。
 「福島県伊達市と連携した『政宗ダテニクル』は(仙台藩祖)政宗以前の伊達氏が福島県北を拠点にした歴史に焦点を当て、著名な声優を起用してアニメとしての完成度を求めた。福島県三春町の『みはるのハルミーゴ』は小学生の声を吹き込み、住民参加型の人形劇になった」
 「完成試写会には多くの人が足を運んでくれたが、作品は地元に人を呼び込むきっかけにすぎず、現地の仕掛けや広報を自治体と考えていかないといけない」

 −経営の現状と今後の見通しは。
 「自治体相手だけでは採算面は厳しいが、CM制作など地元民間企業との仕事が増えてきた。有料のミュージアムの来場者は1年間で約1万2000人に達した。グッズ開発などでさらに魅力を高めたい」

 −今後の事業展開は。
 「福島県などが浜通り地方を研究拠点とする『イノベーション・コースト』構想を進めている。これに連動する形で現地を『ハイテクロボットテーマパーク』として聖地化したい」
 「福島県楢葉町に開所した廃炉研究施設や南相馬市に整備予定の『ロボットテストフィールド』は舞台になる。主人公は少年とロボット。このコンビが災害現場での活躍を目指して修業を積む学園アニメを作りたい。硬い印象の構想にアニメで発信力を持たせることができれば面白い」


関連ページ: 福島 社会

2016年06月01日水曜日


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