宮城のニュース

<スポーツパーク撤回>具体性欠く計画に疑問

市内5カ所で実施した市民説明会では、計画に反対する意見が相次いだ=2月、栗原市栗駒

 市民の憩いの場、交流人口の拡大拠点として宮城県栗原市が打ち出したスポーツパーク計画が撤回された。市民アンケートの結果を受け、佐藤勇市長が最終判断した。核となる集客や交流施設がない同市にあって、多くの市民はなぜ「施設は不要」と判断したのか。背景と今後の影響を取材した。(栗原支局・土屋聡史、若柳支局・横山寛)

◎栗原市 崩れる青写真(上)55.6%の反対

<「撤回は当たり前」>
 「大きな施設を造ったから人が来るという確証はない。集客に向けたビジョンも示されていない。計画の撤回は当然の結論だ」
 アンケートで「必要ない」と答えた70代の男性は、市が4月に全戸配布したスポーツパーク基本構想素案を手に語気を強めた。
 素案には完成予想図や施設の必要性、市民から寄せられた疑問への回答などが記されていた。だが利用者数の見込みや、誘致を目指すスポーツ大会など活用方法は記されていない。
 「素案だから仕方ないが、具体性に欠けていて説得力がなかった」と40代の男性は振り返る。
 市が2月に行った市民説明会では「事業費が巨額だ」「既存施設で足りる」など反対意見が相次いだ。
 説明会に参加したのは主に中高年。若い世代からは「必要だ」との意見もあり、市は計画推進の可否を判断しようと、市内の15歳以上人口の約1割に当たる6500人を対象にアンケートを実施した。
 結果は「必要ない(『どちらかというと必要ない』を含む)」が55.6%で、「必要(『どちらかというと必要』を含む)」の42.4%を上回った。年代別でも30代以上は「必要ない」が過半数を占め、「必要」の割合が多かったのは10、20代だけだった。

<中高年「必要ない」>
 「反対が5割以上なら断念するが、4割以上の賛成があれば計画の妥当性を見いだせる」としていた佐藤市長も、10ポイント以上の差がついたことで計画を撤回せざるを得なかった。
 「市内に家族でくつろげる都市型公園がない。子育て世代は賛成が多いと踏んでいた市にとって、30、40代の支持を得られなかったのは痛かった」と計画推進派の市議は解説する。
 年代が上がるほど回答率は高く、「必要ない」の割合も上昇。10、20代で得た「必要」の割合を押し下げた。市幹部は「シルバーパワーにやられた」と苦笑いするしかなかった。
 市によると、郵送アンケートの回答率は一般的に20%前後とされる。今回は43.9%と高く、関心の高さをうかがわせた。
 計画撤回を表明した佐藤市長だが、1日の記者会見で「若者が交流施設やスポーツができる場所を求めていることがアンケートで分かった。若者や子育て世代に目を向けたまちづくりをしていく上で、重要な参考値になる」と言及。計画の目的の一つでもあった若者定住に向けた施策立案に力を入れる考えを強調した。

[栗原市スポーツパーク計画]築館宮野地区の県立医学部(2014年8月に文部科学省の審査会が選外を決定)建設予定地に大小アリーナの屋内施設、多目的グラウンド、広場、合宿所など整備する計画。事業費は約74億円で、3分の2は合併特例債などで賄う。15年償還の場合、市の負担額は年間1億4100万円。施設の年間維持費は9600万円と見込まれていた。


関連ページ: 宮城 政治・行政

2016年06月02日木曜日


先頭に戻る