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<スポーツパーク撤回>来春選挙控え火種残す

事業の中止が決まったスポーツパークの計画予定地=栗原市築館下宮野

◎栗原市 崩れた青写真(下)「撤回」の先に

<任期の残り1年弱>
 「調査結果を重く受け止め、計画を取りやめる」
 5月31日、宮城県栗原市議会調査特別委員会。佐藤勇市長が市スポーツパーク計画の撤回を告げると、計画推進派の一部の市議は複雑な表情を浮かべた。
 議員たちの脳裏に刻まれていたのは、初めて市民に構想が示された2月の説明会。中高年を中心に反対意見が相次いだ。市議選まで1年弱。表立って賛意を示せば、投票率が高い中高年からそっぽを向かれかねないとの懸念があった。
 佐藤市長は事業の可否を判断する市民アンケートで賛否が拮抗(きっこう)した場合、自身の政治判断で事業を推進する可能性を示唆していた。だが結果は50代の61.7%、60代の67.0%が計画に否定的で、全体でも「不必要」が「必要」に10ポイント超の差をつけた。「世論との板挟みに遭いそうだった推進派の議員は大差に救われた」。推進派市議の一人は自嘲気味に語った。
 当の佐藤市長もまた、複雑な思いで結果を注視していた一人だ。任期は市議と同じ来年4月末。意見が割れた状態での計画推進は「強硬姿勢」とも受け取られかねない。「賛否が拮抗するケースを考えると胃が痛い」と漏らすのを聞いた関係者もいる。
 ベテラン市議は「任期まで2、3年あれば押し通せたかもしれないが、1年を切る中でアクセルを踏むのは難しい」と解説。「市長の『先』を考える上でベストな判断だった」と語る。

<政治課題 宙に浮く>
 一方、今回の計画撤回に肩透かしを食らった人たちもいる。次の市議選、市長選に意欲を燃やす出馬予定者たちだ。
 ある候補者の周辺では、事業の推進が決まった場合、計画の是非を対立軸に据えて選挙の準備に取り掛かる動きがあった。市内の経済関係者は「久々に出てきた政治課題。新人からすれば攻めない手はない案件だっただけに、今回の結論は気勢をそがれただろう」と推察する。
 計画撤回で市民を二分する事態は避けられたが、予定地の同市築館宮野地区の用途は白紙に戻った。同地区は県立医学部やホッケー場といった構想が浮かんでは消えた経過をたどっている。幹線道路や東北新幹線くりこま高原駅に近接し、基幹病院が位置する重要地区は「ある意味で政治の火種を抱えた地域」(選挙関係者)だ。
 佐藤市長は6月1日の記者会見で「今回のアンケートを通じ、いろんなことを勉強させてもらった。一から市民の声を聞いて考え直していかなければならない」と強調。市長選への影響については「論点にはなるが、争点にはならない」と言葉を濁した。


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2016年06月03日金曜日


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