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<三陸沿岸道>避難先機能 重視し整備

三陸沿岸道路につながる避難階段。被災者が暮らす仮設住宅そばに整備された=岩手県山田町

◎岩手復興 大動脈北へ(15)教訓生かす

<100人を収容可能>
 プレハブ仮設住宅近くの斜面にコンクリート造りの階段が延びる。約17メートルを上った先は、三陸沿岸道路の一部である山田道路だ。
 道路とガードレールで区切られたスペースがあり、100人ほどを収容できる。階段の手すりには太陽光発電で点灯するライトがあり、夜間でも避難できる。
 岩手県山田町の山田病院裏仮設住宅。この地区は東日本大震災の津波で一部が浸水した。避難階段は震災2年後の2013年3月に完成した。
 道路整備を担当する東北地方整備局三陸国道事務所の舩木仁副所長は「周囲には道路より高い建物がない。震災時には道路の斜面を上って避難した人もいた」と設置理由を説明する。
 三陸沿岸道路に接続する避難階段は12年に整備が始まった。岩手、宮城両県に43カ所を計画し、これまでに17カ所が完成した。
 未完成分のうち宮古市内で整備が進む山田宮古道路では、パーキングエリアに通じる避難階段とスロープも設置する。舩木副所長は「階段はあくまで一つの避難手段。訓練や地域との連携を踏まえ、効果を発揮できるようにしたい」と言う。
 震災後、三陸沿岸道路の整備方針には「避難先としての機能強化」が追加された。インターチェンジの設置間隔も住民避難や病院などとの接続を考慮し、通常の高速道路より短くする。

<計画一気に進展>
 三陸沿岸道路の総延長359キロのうち、震災前に開通か事業化が決まっていたのは約6割の211キロ。残りは交通量が少ないなどの理由で、ルートさえ未定の区間もあった。
 その状況を一転させたのが、震災時に果たした「命の道」の役割だ。
 東北地方整備局の金森滋道路計画第一課長は「災害時の道路に求められるのは、壊れずに人が移動できること。震災では避難場所や避難路という副次的な効果も発揮した。震災の経験が道路整備の在り方に与えた影響は大きい」と話す。
 11年7月、国は三陸沿岸道路について「おおむね10年以内での完成を目指す」とした。通常は15年程度かかるという工期を大幅に短縮する計画だ。横軸の盛岡宮古横断道路(100キロ)なども加えると、概算で総事業費1兆4000億円に上る巨大プロジェクトが動きだした。
 東北大災害科学国際研究所の奥村誠副所長(交通計画)は「震災時に三陸沿岸道路が果たした役割を見ても、『道路はあった方がいい』という概念から地域の命を守る不可欠なインフラに位置付けが変わった。造りやすく、壊れにくく、建設費を抑えた道路が望ましい」と指摘する。


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2016年06月03日金曜日


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