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<熊本地震>災害廃棄物処理 震災教訓伝える

西原村の災害廃棄物仮置き場。東松島市の教訓が役立てられている=4月26日(市提供)

 東日本大震災でがれきなどの災害廃棄物を効率的に処理した宮城県東松島市が、教訓を熊本地震の被災地に伝えている。分別の徹底により、リサイクル推進やコスト抑制に貢献。被災者を雇用して就労を支援するとともに、マンパワー確保も図る。市は「迅速な災害廃棄物処理は円滑な復旧・復興につながる」と話す。
 教訓が生かされているのは熊本県西原村。熊本市の東約20キロに位置し、4月16日に震度7を観測した。5人が犠牲となり、約1400戸が全半壊した。
 グラウンドを活用した災害廃棄物の仮置き場は約2.5ヘクタール。当初は村職員約70人のうち3、4人が現場に立ち会い、可燃物や木くず、コンクリートなど6、7品目に大別した。
 東松島市は4月下旬の1週間、下水道課の鈴木雄一主任(41)ら職員3人を村に派遣。3人は震災で災害廃棄物処理を担った経験を踏まえ、助言や指導をした。
 市は震災で、災害廃棄物は事前に細かく分別された上で仮置き場に搬入されるとリサイクルや売却など処理の選択肢が広がり、処理が早まることを学んだ。コストを抑制できれば、その分を他の必要な復旧・復興事業に充てられるという。
 アドバイスを受け村は早速、品目の細分化に着手した。家の屋根などに使われる瓦と、割れるとアスベストが飛散するスレート瓦を区別。金属のうち発火しやすい薬剤が入った缶などを別の場所へ移した。安全にも配慮した措置の結果、分別は19品目となった。
 鈴木さんらは、被災者を現場で雇うことも村に提言した。震災時、同じ境遇の被災者が働く姿は他の被災者の活力ともなり、分別の精度も高まるなど雇用の効果を実感していたからだ。
 村は提案を受け入れ、働き手を募集。20〜60代の男性約10人が「復興につながればいい」などと応じた。福岡、佐賀両県の応援職員らと連携し、車で運搬されたがれきの処理などに奮闘する。
 鈴木さんは「村の方々が分別の大切さを理解し、実践している。村独自の取り組みが対外的にも評価され、被災者の希望につながればいい」と期待する。
 西原村住民課の松下公夫係長(49)は「助言は非常に参考になる。今後は被災家屋などの解体廃材への対応が必要だ。東松島と同様に仮置き場の木材などを破砕機でチップ化し、搬出する方向で検討している。被災者雇用も増やせるといい」と語る。

[東松島市の災害廃棄物処理]2003年の宮城県北部連続地震でがれきが混在し、処理費がかさんだのを教訓に11年3月の震災直後から分別処理に着手。被災者を雇用し、手作業でがれきを選別した。14年3月に処理が終了し、処理量は約326万トン、総事業費は約588億円。リサイクル率は99%に達した。処理単価は1トン当たり約1万8000円と、県内の沿岸12市町で最も低い。


2016年06月06日月曜日


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