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起業家育成 遠野の人材・資源生かす

移り住んだ築約80年の民家前の木陰で社員と打ち合わせする林さん(右)

 岩手県遠野市で国の地域おこし協力隊制度を活用した起業家育成の事業がスタートする。同市に5月に設立された新会社「ネクストコモンズ」が、市と協力して制度を起業支援に特化して用いる先駆的な取り組み。首都圏など都市部の若者ら10人を隊員として採用する。遠野に受け入れた上で地元の人材や資源と組み合わせ、最長3年での起業を目指してもらう。
 事業名は「ネクストコモンズ・ラボ」。(1)クラフトビール醸造と小規模ブルワリーを核とした地域活性化(2)ビジネス創出による限界集落存続(3)どぶろくに代表される発酵技術の科学的研究と応用−など10プロジェクトを設定した。他地域でも展開できる成果や方法論を生み出すことが目標だ。
 市内の各分野で活動する人材が中心となり、起業や共同創業のパートナーとなる。一部プロジェクトでは製薬やITの大手企業が協力し、新たな商品やサービスの開発につなげる。
 同社は隊員活動費の一部を資金に充て、隊員の住まいの確保や事業への市民参画に取り組む。隊員採用の説明会を5月30日に東京で開き、募集を続けている。
 代表取締役の林篤志さん(30)は2011年7月、高知市で自然や文化を生かした学びの場「土佐山アカデミー」を創設した。これまでに延べ6000人以上が訪れる拠点に育て、14年開始の起業家養成スクールでは修了した20人のうち12人が起業した。
 協力隊制度について「経験値の低い若者は十分な活動ができず、自治体も優秀な人材を使いこなせていないケースが多い」と指摘する林さん。起業支援への制度活用を発案し、実現のために15年7月に遠野に移り住み、準備してきた。
 本格始動は9月以降になる。林さんは「地方は土地代や生活コストが低く、豊かな暮らしや自由な働き方を両立させて仕事を創れる。起業を通じて理想の社会を実現する高い志を持つ仲間を集めたい」と話す。
 本田敏秋市長は「隊員10人には遠野という土俵で思う存分挑戦してほしい。外からの刺激で、まちにも活気が出る」と期待する。

[地域おこし協力隊制度]都市部から地方に移住し、地域活性化に努める人材を自治体が隊員として委嘱する。業務は地場産品の開発や販売、農林水産業への従事、住民の生活支援など。1人当たり最大400万円の活動費は特別交付税で措置される。隊員の約8割が20〜30代。2015年度の隊員は2625人で、東北では福島県と88市町村で計245人が活動した。


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2016年06月08日水曜日


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