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<原発事故>ため池除染 工法特殊深まる焦り

試験的な除染が行われたため池。底土を吸引、浄化する工法が採られた=福島県川俣町

 福島県内の自治体が農業用ため池の除染に焦りの色を見せている。東京電力福島第1原発事故による営農への影響を回避する狙いがあるものの、特殊な工法が必要な上、工期が限られるなど厳しい条件での作業が予想されるためだ。担当者からは「業者の奪い合いになるのでは」と不安視する声も聞かれる。(南相馬支局・斎藤秀之)

 除染は底土(乾燥状態)の放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える場所が対象。福島県は本年度以降、県内700〜800カ所の施工を見込む。
 工事は汚染された底土を重機で除去したり、ポンプ吸引した後に放射性物質を分離したりする手法がある。専用プラントや特殊資材が求められるケースもあり、専門業者の助力が必要になるという。
 福島県南相馬市内の土木業者は「他の工事への転用が難しく、ため池除染に絞った設備投資は困難。地元業者だけでは対応できない」と指摘する。

<予想外のトラブルも>
 ため池ならではの事情も作業を難しくする。公道から外れた場所では、重機を搬入する仮設道路の敷設が不可欠。防火用水を兼ねていれば水は抜けない。準備が大掛かりになっても、工期は稲刈り後から翌年の春先までに限られる。
 試験的に1カ所で除染工事を実施した同県川俣町では、工期を農閑期に当たる今年1〜3月に設定した。営農への影響は避けられたが、氷が張るなど予想外のトラブルに見舞われた。
 同町では計50カ所程度で施工が予定されている。担当者は「試験工事は公道沿いにあり、作業スペースが確保できるため池を選んだ。効率的な施工に向け、今後は発注段階から工夫が求められるだろう」と気を引き締める。

<除去物の仮置き場は>
 円滑な除染作業には地元住民の同意が欠かせない。南相馬市は秋以降の施工をにらみ、5月に行政区単位の説明会を始めた。汚染状況や工法に加え、除去物を保管する仮置き場の必要性にも触れている。
 市農林整備課は「地元の反発があれば作業は進められない。工事の有用性について広く理解を求めたい」と説明する。
 ため池除染の工費は国の交付金で賄われるが、財源が確保されているのは2020年度まで。今後5年間で各地からの発注が集中する事態も予想される。川俣町の担当者は「自治体間で業者確保の競争になる。少しでも早く工事手続きを進めたい」と話した。


2016年06月08日水曜日


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