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<つや姫>高品質米の頂点へ 差別化戦略

水田を前に「魚沼産コシヒカリを超えるコメを目指す」と力説する土屋さん

 山形県が誇るブランド米「つや姫」の中でも、頂点に立つコメを生産しようと、寒河江市の農家が特別な水田団地造りを進めている。その名は「つや姫ヴィラージュ(村)」。竹炭で浄化した用水で育てるなどして、味も見た目も高品質、しかも均質なコメ作りを目指す。2018年の生産調整(減反)廃止を控えて過熱するブランド米競争に、ベテラン農家たちがプライドを懸けて立ち向かう「差別化戦略」だ。(山形総局・伊藤卓哉)

<栽培面積3倍に>
 「新潟県の魚沼産コシヒカリを超えるコメを目指す」。5月下旬、今年の田植えを始めるヴィラージュ出発式で、「村長」の土屋喜久夫さん(62)が力を込めた。
 つや姫は日本穀物検定協会の食味コンクールで6年連続で最高評価の「特A」を獲得し続けている。
 さがえ西村山農協のつや姫研究会会長でもある土屋さんは、地方ごとに土壌や気候の栽培条件が異なることなどで、つや姫の出来にばらつきがあることを危惧。均質で安定した食味を目指そうと、12年から生産者有志とともに「ヴィラージュ」と名付けた水田の団地化に取り組んでいる。ヴィラージュはフランス語で「村」の意味だ。
 同農協営農指導課は「1カ所で育てることで田んぼに水を入れる時期が一緒になり、稲の生育や色付きが均一になる。参加農家にも均質なコメを作ろうとの意識が自然と働く」と言う。
 本年度は農家28人と農事法人など3団体がヴィラージュでコメを作る。栽培面積は南部地区37.2ヘクタールに加え、13年に「分村」した三泉地区8.8ヘクタールを合わせた46ヘクタール。生産を始めた12年の15ヘクタールから約3倍に拡大した。農協出荷量も増え、昨年度は約192トンになった。

<竹炭で用水浄化>
 食味をよくするために、田んぼの取水口に竹炭を入れて水を浄化するなど管理を徹底。コメの生育を助ける半面で食味に悪影響を与えるとされる窒素やリン酸、カリウムが入った肥料は水田0.1ヘクタール当たり1.0〜1.5キロ減量している。
 その結果、県の出荷基準で率が低いほど食味がよいとされる玄米粗タンパク質含有率は、つや姫の平均が6.4%なのに対し、ヴィラージュ米は6.0〜6.1%と低い。ばらつきも0.1以内で抑えている。
 ヴィラージュ米は、県が主催する食味コンクールで13年度から3年連続で入賞。うち2回は知事賞に輝いた。開村時に「銀座でヴィラージュ米を販売する」と掲げた目標も15年に達成した。店頭価格も2キロで1270円と、県産つや姫よりも120円ほど高い値で販売されるようになった。
 減反廃止を2年後に控え、最近は全国的にブランド米が続々と誕生。日本穀物検定協会食味コンクールで15年度に「特A」をもらったコメは過去最多の46銘柄にも達し、市場ではブランド米競争が激化している。
 山形県県産米ブランド推進課は「今やつや姫でも油断できない状況だ」と危機感を抱き、栽培面積や販売で一定の条件を満たした農家を認定するなどしてブランド維持に尽力している。
 土屋さんは「つや姫の中でも頂点に立つような品質でなければ、激しさを増す競争で生き残れないかもしれない。農家として全国屈指のコメを作るという気概を持ち、最高のつや姫を作っていく」と意気込んでいる。


関連ページ: 山形 経済

2016年06月09日木曜日


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