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<震災5年3カ月>住宅再建 将来見通せず

 「家を建てるか災害公営住宅に入るか迷う」「避難先で生活が安定した」。東日本大震災で大きな被害が出た岩手、宮城両県では、仮設住宅入居世帯の約10%が住宅再建の方針をいまだに決められずにいる。市町村は、被災者の将来への不安感や経済事情、被災地の復興事業の遅れなどが壁になっていると分析する。
 岩手県釜石市の担当者は「高齢のため自力再建に踏み出せず、災害公営住宅への入居にもためらいがある被災者が多い。期限ぎりぎりまで無料の仮設住宅に居続けたい人もいる」と話す。土地区画整理事業や防災集団移転先の宅地が完成せず、決断の遅れにつながっている面もあるという。
 岩手県では沿岸から内陸に避難する被災世帯の約20%が方針未定。陸前高田市は「仕事や子どもの進学先がどうなるのか分からず決めかねている」とみる。
 自治体は住宅再建を後押しする支援に力を入れる。気仙沼市は17日までに未定の150世帯を全戸訪問し、意向や悩みを聴き取る。釜石市は住宅再建相談員を設置し、補助制度の説明などを通して再建方針を決めるよう働き掛ける。
 岩手県大槌町は26日、花巻市で開く内陸避難者の交流会で帰還を促す方針だ。大船渡市は宮城県の自治体を視察し、対策を本格化させる。
 未定世帯が最多の石巻市は、既存の市営住宅の活用や家賃補助制度の創設も視野に対策の検討を始めた。市外から避難した被災者が多い仙台市の担当者は「仙台で住宅再建する市外の被災者向けの個別支援を強化したい」と話す。
 被災住民の再建方針がほぼ固まった自治体は次の課題への対応に迫られる。
 宮城県山元町が懸念するのは、災害公営住宅に入居後、家賃負担に耐えられない世帯が出ることだ。家賃水準が前年の所得で決まるため、担当者は「建築や土木の仕事は年々減っており、所得が落ち込んで生活に行き詰まる人が出ないか心配だ」と話す。


2016年06月10日金曜日


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