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<山田線脱線>斜面の亀裂拡大 復旧長期化

ブルーシートに覆われたままの車両が残る事故現場=宮古市門馬、10日午後2時ごろ

 岩手県宮古市門馬のJR山田線松草−平津戸間で、普通列車(1両)が崩れた土砂に乗り上げて脱線した事故は、11日で発生から半年となる。JR東日本盛岡支社によると、崩壊斜面上部の亀裂は拡大を続け、再び崩壊する恐れがある。同社は安全対策工事に入る方針を示すが、着工の見通しは立っていない。脱線した車両と線路上の土砂は事故当時のままで、復旧工程はさらに長期化する公算が大きい。
 同支社は5月、岩手県や宮古市などと復旧計画を策定する協議会で、幅約20メートルの亀裂の拡大を防ぐための安全対策工事を示した。
 雨水の浸透で亀裂が広がる傾向があるとして、土中に排水用パイプ19本を埋設。その上で亀裂周辺の土砂を撤去し、斜面に100本以上のくいを打って斜面の動きを抑える計画だ。
 竹島博昭設備部長は「ようやく基本方針が見えた。復旧に向けて作業に取り組む」と話すが、日程は何も決まっていない。
 同支社は「範囲が広く高さもあり、急斜面。かなり大規模な工事になる。設計をした上で、具体的な内容を決めなければならない」と説明する。
 昨年12月の事故直後、崩壊斜面上部で見つかった亀裂は拡大が続く。計測開始から今月10日までに、段差は1メートル38センチに広がった。
 岩手大工学部の大河原正文准教授(地盤工学)は「梅雨に入ると、土砂崩壊の危険性はさらに高くなる。早急に工事に着手すべきだ」と話す。安全対策だけで半年以上はかかると推測。仮に大規模な崩壊が発生すれば、土砂が線路沿いの閉伊川や国道106号まで流入する恐れも考えられるという。
 脱線車両と線路上の土砂は「工事の安全が確保できない」(同支社)として撤去の見通しは立たない。盛岡−宮古間(102.1キロ)は一部区間で折り返し運転とバスの代替輸送が続く。
 岩手では2010年夏に岩泉町の岩泉線で同じような脱線事故があった。JRはその復旧費が約130億円に上り、乗客減が続く状況に見合わないと判断。14年に廃線となった経緯がある。
 山田線の1日1キロ当たりの利用者を示す平均通過人員は279人(14年度)で年々減っている。
 盛岡市側の一部区間を利用する同市の自営業女性(64)は「沿岸の復興が本格化する時期に不通区間があるのは残念。一日も早く復旧への道筋を示してほしい」と話す。


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2016年06月11日土曜日


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