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<参院選争点を歩く>道半ば、失敗 評価交錯

経済政策の先行きなど、立候補予定者の主張を聞く有権者=仙台市青葉区

◎経済政策 「果実」地方に届かず

 「アベノミクスを進めるのか、民主党時代に戻すのかが問われる戦いだ」。参院選(22日公示、7月10日投開票)を前に、首相安倍晋三は9日、山形市の街頭で高らかに語った。
 政権の生命線とされる経済政策「アベノミクス」。安倍の自信とは裏腹に、景気回復の実感に乏しい東北では、その成否を巡る訴えがぶつかり合う。

<成果を誇示>
 消費税率10%への引き上げ再延期が決定した1日夕。宮城選挙区(改選数1)で再選を目指す自民党現職の熊谷大は、仙台市であった設備業関連団体の集会に駆け付けた。
 「消費税を上げれば、軌道に乗ってきた経済再生に水を差す」。熊谷は再延期判断を正当化し、アベノミクスの成果を誇示した。
 国の2014年度一般会計決算は、所得税が16兆8000億円で見込みより1兆円近く増えた。法人税は11兆円で5000億円の増。熊谷は数字を挙げながら「津々浦々に成果を浸透させるには政治の安定が重要だ。ねじれ国会に戻す選択肢はない」と力を込めた。
 対する野党。「アベノミクスは失政」と攻勢を掛け、対立軸を鮮明にする。
 「賃金が上がらないから消費は増えず、内需が拡大しない。地方が衰退している」。熊谷と争う民進党現職桜井充は2日夕、仙台市の労組集会で力説した。
 東北は個人消費に勢いを欠く。百貨店販売額は15年まで3年連続の前年比割れ。15年の新車新規登録台数は前年比で12%減った。
 桜井は「企業は株主配当ばかり増やしている。収益が賃金に回る対策が必要だ」と訴え、政府が進める金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」を「毒矢」とこき下ろす。

<現状に不安>
 アベノミクスは道半ばか、失敗か−。評価が交錯する中、現状を不安視する声は政権内にも潜む。
 「景気はまだまだの感があるのは事実だ」。自民山形県連会長の五輪相遠藤利明は5月中旬、山形市で開かれた県連大会で、アベノミクスの「果実」が地方に届かぬ実情を認めた。
 「果実」の一つとされる雇用。山形県の3月の有効求人倍率は1.30で、自民が政権復帰した12年12月から0.37ポイント上昇した。ただ正社員の有効求人倍率は0.71(3月)で、派遣や契約社員といった非正規雇用が数字を押し上げている構造は変わらない。
 山形選挙区(改選数1)でしのぎを削る2人は、共通の危機感を抱く。自民新人の月野薫は「若者が地元で働きたくても、望む職がなく他県に出てしまう」と嘆く。無所属元議員の舟山康江は「地方経済は実感も指標も良いとは思えない」と現状を憂えた。(敬称略)


2016年06月12日日曜日


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