岩手のニュース

<震災5年3カ月>月命日 変わらぬ祈り

念仏を唱え、震災犠牲者を供養する菅原さん(右)

 岩手県陸前高田市の浄土寺住職菅原瑞秋さん(57)が、東日本大震災の月命日に犠牲者を供養する念仏会を続けている。震災から5年3カ月の11日、被災地に変わらぬ鎮魂の音が響いた。
 津波で壊滅し、かさ上げ工事が進む市街地が見える本堂に檀家(だんか)ら10人が集まった。木魚を鳴らしたり、念仏を唱えたりして、亡くなった人の冥福を祈った。「避難所生活は大変だったなと、考えていました」。菅原さんは振り返った。
 市中心部の浄土寺では、檀家約300人が犠牲になった。法人経営していた幼稚園も全壊し、園児6人が園外で津波にのまれた。
 菅原さんは、被災した寺の修復が終わっていない2013年1月、月命日の供養を始めた。毎月、故人や震災当時のことに思いを巡らせたいと思うからだ。
 同市の松坂洋子さん(73)は長男を失った。「気休めかもしれないけれど、ここに来たら息子に会える気がする。参加者が減って寂しいが、体が動くうちは訪れたい」と話した。
 寺周辺は、ようやくかさ上げ工事に入る。完了まで2年かかる見通しで、庫裏の再建はまだ先だ。
 菅原さんは「日々の生活に追われている遺族らもいると思う。11日の念仏会には、ずっとこだわりたい」と決意を新たにする。


2016年06月12日日曜日


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