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福島の思いつなぎ伝え5年 情報紙近く最終号

最終号を迎える「泉沢つうしん」と資料ファイル。離散した地区民をつなぎ続けた

 福島県南相馬市小高区泉沢地区の手作り情報紙「泉沢つうしん」が近く最終号を迎える。東京電力福島第1原発事故で分断された地域のつながりを守ろうと、5年近くにわたって有志が地区民向けに発行してきた。一帯の避難指示が7月12日に解除されるのを機に、定期発行の中止を決めた。
 編集を手掛けたのは地元の生駒壱岐さん(67)。第1号の発行は、原発事故から半年ほど過ぎた2011年10月だった。
 55戸の地区民は散り散りとなり、避難先さえ分からない。「とりあえず元の住所に郵送するしかなかった。転送先からの返事で安否、所在を把握できたのは大きかった」と振り返る。
 発行は月1回。住民らの寄稿をパソコンでA4サイズの用紙に収め、印刷、発送した。地元の話題を取り上げた新聞記事、市などから配布された復興関連の資料を同封し、情報共有に役立てた。
 原稿は当初、原発事故時の経験談や望郷の思いが目立った。次第に「子供が避難先になじんできた」といった記述が出てくるなど、紙面は住民の心境の変化も映し出した。
 生駒さんは近く最終号を作った後、住民の声を載せた「号外」を発行。東日本大震災、原発事故の概要と併せ、全号を小冊子にまとめて地区民に配る。
 予定した原稿が集まらず、紙面を埋める苦労も味わった。生駒さんは「作業は大変だったが、離散した住民をつなぐことができた。それぞれが生きた証しとして後世に伝えていきたい」と話す。


2016年06月15日水曜日


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