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<奥羽線>愛され115年 峠の餅売り

列車到着に合わせプラットホームに立ち、「峠の力餅」を売る小杉さん=JR奥羽線峠駅
峠の力餅=2016年6月7日、米沢市大沢

 山形、福島両県境の山あいにあるJR奥羽線の峠駅(山形県米沢市大沢)の立ち売りが、この5月で115年を迎えた。標高626メートルの無人駅近くにある茶屋の売り子が、わずか30秒の停車時間に名物の「峠の力餅」を売り歩く。JR東日本管内で唯一残る立ち売りに、今もファンが根強く残る。
 「ちから〜もち〜 とうげのめいぶつ〜」。今月上旬の朝。2両編成の列車がスノーシェッド内にある駅に到着すると、5代目経営者の小杉大典さん(39)が声を響かせた。自ら売り子としてプラットホームに立つ。
 「峠の茶屋 峠の力餅」と書かれた法被を着込み、大正時代から受け継ぐツゲ製の木箱を肩から提げる。中には、あんこが入った餅10個入りの包みが5、6箱。1箱1000円だ。
 通勤途中らしい十数人の乗客に動きはない。上下線各1本を見送った後、「平日のこの時間帯は、こんなもの」と話した。
 奥羽線福島−米沢間が1899年に開通して2年後に始まった。行楽シーズンや各種イベント期間などを除けば、1日の売上げはそう多くはない。「時代の流れだが、立ち売りあっての峠の茶屋です」と小杉さんは言う。
 全国的にも珍しい、旅情をかき立てる光景に多くのファンがいる。到着時間を告げて力餅を予約したり、車で茶屋を訪れて「あの風情がいい」とわざわざプラットホームまで歩いて行き購入したりする人もいる。
 2001年に店を継いだ小杉さんは、店のホームページを作成し茶屋の魅力や歴史などを全国に紹介している。「やれることをやっているだけ。小さい店だから、これからも細く長く。『太く』を目指したら、とっくに山を下りて街中で商売してますよ」と笑った。


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2016年06月16日木曜日


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