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<原発事故>「炉心溶融使うな」東電社長指示

 東京電力福島第1原発事故で、東電が当初「炉心溶融(メルトダウン)」が起きていることを公表しなかった問題を巡り、東電の第三者検証委員会は16日、検証結果を公表した。当時の清水正孝社長が「炉心溶融」の言葉を使わないよう指示し、使用を控えるべきだとの認識が社内で共有されたとした。事故を過小評価する「炉心損傷」との表現を続けた東電の隠蔽(いんぺい)体質が改めて浮き彫りになった。
 東電は事故発生2カ月後の2011年5月になって1〜3号機の炉心溶融を発表。当時の社内マニュアルに従えば、燃料の損傷割合が5%を超えたことが確認できた3月14日時点で炉心溶融と判断できた。
 報告書によると、3月12日に炉心溶融の可能性を認めた当時の原子力安全・保安院の審議官が更迭され、溶融を肯定する発言は避けるべきだとの認識が社内に広がった。
 13日に首相官邸から戻った清水社長は広報担当者を通じ、記者会見中だった武藤栄副社長(当時)に「炉心溶融」などと書いたメモを渡し、「この言葉は使わないように」と指示した。
 マニュアルを確認しながら国や自治体への通報業務に当たっていた第1原発職員は炉心損傷割合の数値だけを通報文に記載。検証委は「炉心溶融に当たる」と表現しなかったのは、自治体を通じマスコミに知られることを避けるためだった可能性が高いと推測した。
 清水社長らが官邸や保安院から指示を受けたと推認されるが、具体的な指示内容は不明とした。炉心損傷の割合だけの通報でも法令違反などには当たらず、国の避難指示に影響は出なかったと判断。一方、損傷割合の意味が理解できなかったとみられる福島県や地元市町村への通報は不十分だったと認定した。
 判断基準の存在を今年2月までの約5年間見過ごしていた点は、社員間の情報共有が不十分だったことなどが原因で、意図的ではなかったと判断した。
 検証委は3月、東電が設置し、元仙台高裁長官の田中康久弁護士ら弁護士3人で構成。東電関係者約60人に聞き取り調査した。


2016年06月17日金曜日


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