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<リオ五輪>ボート大元 先輩の熱意継ぐ

舟をこぎ出す大元(手前)と中野紘志のペア。まずは上位6組が出場できる決勝進出を狙う

 リオデジャネイロ五輪に初出場するボートの男子軽量級ダブルスカルの大元英照(アイリスオーヤマ)が先輩の無念を晴らそうと燃えている。長年ペアを組んだ同僚の須田貴浩が1月、日本代表候補から漏れた。「須田さんの思いも背負って戦う」と闘志を燃やす。
 「五輪に出るためには必要だ」
 須田の主導で2人は2014年11月、ギリシャへ渡った。イタリア人の元日本代表ヘッドコーチ、ジョバンニ・ポスティジリオーネ氏の指導を受けるためだ。
 当初、大元は費用や家族のことを考え、渡航をためらった。アイリスオーヤマの大山健太郎社長の了解を取り付けるため、合宿の内容や狙い、予算など事細かに書類を仕上げる須田の姿に、五輪への思いを強く感じた。須田の熱意が通じ、会社は後押ししてくれた。
 同年末までの約1カ月半、大元は「本当につらかった」と振り返る。通訳がいないため、日本語で話せるのは2人だけ。合宿所でギリシャチームと食事をすることもあったが、食堂で2人だけになれば「話はボートに集中した」。
 近くに商店などがなく、気分転換もできない。帰国直前までぶつかり合ったが、その分、精神的に強くなった。
 「ギリシャに行かないで、五輪が駄目なら後悔する」との覚悟を持って異国で挑戦した。大元は「あのつらい経験がなければ、今ここ(五輪代表)にはいない」と言い切れる。
 今までは地方大会でも国際大会でも、隣には須田がいた。「相手に興味があるからけんかもするし、五輪に対して本気だからこそぶつかり合えた」。今回、2人は明暗を分けた。「正直、複雑だった」と漏らすが、「(出場を)須田さんも喜んでくれていると思う」と語る。
 4月に韓国であったアジア・オセアニア予選で五輪の出場枠を獲得した後、須田から「おめでとう」とメールが届いた。「短かったが、雰囲気は伝わった」。約10年間ペアを組んだ先輩からのクールな祝福に、少しだけ頬が緩んだ。(剣持雄治)

[大元 英照(おおもと・ひでき)]14年の仁川アジア大会で金メダル。宮城・塩釜高、仙台大出。アイリスオーヤマ。179センチ、70キロ。31歳。塩釜市出身。


2016年06月24日金曜日


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