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イノシシ鍋が消滅危機 赤字続き市補助金廃止

飼育したイノシシを使ったぼたん鍋。肉質が柔らかくうまみがある(ともに公社提供)
むつ市脇野沢農業振興公社で飼育するイノシシ

 飼育したイノシシを使った青森県むつ市脇野沢地区名物のぼたん鍋が、消滅の危機を迎えている。飼育事業の度重なる赤字に市がしびれを切らし、来年度以降の補助金廃止を決定。事業継続への打開策は見えていない。
 「34年間で一度も黒字を出していない。これ以上、将来への負担は増やせない」
 むつ市の宮下宗一郎市長は5月31日、イノシシの飼育事業への補助金支出継続を求めた脇野沢宿泊業組合などの要望を一刀両断した。
 市はイノシシ肉をふるさと納税の返礼品にしたり、関西や青森市でトップセールスをしたりするなど2014年からてこ入れを図ってきたが、飼育事業を担う市脇野沢農業振興公社の経営は上向かなかった。
 イノシシの肉は青森県内外で販売するほか、地元の宿泊施設で名物として売り出してきた。単価が高いのがネックで、野生に比べ3〜4倍の1キロ8000円前後。事業の黒字化には、単価をさらに倍にしなければならない。
 公社はイノシシ事業で市から毎年600万円近くの補助金を受ける。だが寒さ対策の床暖房や餌代などがかさみ、毎年500万〜600万円の赤字を計上。累積赤字は約6600万円に上る。
 市の補助金廃止を受け、公社は5月末に飼育事業からの撤退を正式決定。事業の新たな引き受け手は見つかっておらず、飼育するイノシシ106頭、イノブタ15頭、豚2頭を来年3月までに食肉販売や譲渡などの方法で処分する予定だ。
 脇野沢地区のイノシシ事業は1982年、タラ以外の新たな名物を模索する中で始まった。温度管理やストレス対策など飼育が難しく採算ベースに乗れずにいた。
 公社の出資者で社員でもある宿泊業組合は、新たな経営計画案を作ったが、現実性に乏しく手詰まり感が漂う。
 杉浦弘樹組合長(37)は「長年取り組んできた事業なので、まだ諦めるわけにはいかない。地元で一致団結して生き残り策を模索したい」と語った。


2016年06月24日金曜日


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