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<双葉「仮の町」>いわきに移り3年 道半ば

いわき市勿来地区で始まった災害公営住宅の敷地造成工事

 東京電力福島第1原発事故で一時、埼玉県加須市に役場ごと避難した福島県双葉町が、いわき市に役場機能を移して6月で3年となった。現在は町民の3割に当たる2081人(6月1日現在)が市内に暮らす。町域の大半を帰還困難区域が占める中、町はいわき市南部に避難生活の中心拠点を形成する計画だが、道はまだ半ばだ。(いわき支局・古田耕一)

 新潟県長岡市に避難していた細沢栄子さん(66)は2013年9月、夫婦でいわき市に移った。「双葉の家と人が恋しくて、町が近く、知人も多いいわきに戻った。役場があることで安心感も生まれた」と話す。
 双葉町は原発事故で町民が全国に散らばった。いわき市に仮役場を構えた13年6月には福島県外に3200人、県内に3800人が避難していた。今も38都道府県に分かれ、県外に約2900人、県内に約4100人が住む。いわき市内の居住者は1527人から550人以上増えた。
 町は14年4月、市南部で小中学校を再開。児童生徒は28人と少ないが、情報通信技術(ICT)活用など特色ある教育に取り組む。町の社会福祉法人も学校近くで特別養護老人ホーム再開を決め、工事を始めた。
 誤算は、県が同市勿来地区に整備する災害公営住宅の着工が、用地買収の遅れなどで今年春にずれこんだことだ。
 6ヘクタールの敷地に一戸建て(72戸)と集合住宅(6棟計108戸)、医療機関や福祉施設、交流施設などを備えた「ミニ仮の町」を造る計画。町外拠点の「核」となる場所だが、入居開始は17年度後期に延びた。
 県は20日、入居希望者が減ったとして、公営住宅の戸数を減らす方針を発表。勿来地区も180戸のうち、集合住宅1棟(21戸)の着工が保留された。
 いわき市に避難する町民の自治会「いわき・まごころ双葉会」の岡田常雄会長(84)は「町民の心のよりどころとして、公営住宅を早く完成させてほしい」と要望。一方で「事故から5年以上が過ぎ、生活もだいぶ落ち着いている。いわきは市域も広い。公営住宅にどれだけ人が集い、拠点として存在感を発揮できるか。工夫が必要だ」と話す。
 帰県から3年。町内では本年度、津波被災地で復興産業拠点の整備が始まった。新たな町づくりの第一歩だが、帰還の道筋は見えない。伊沢史朗町長は「中期的には、避難先と行き来する『二地域居住』を見据える必要がある。いわき市と市民の理解と協力を得ながら、町民の絆を保つソフト面にも力を入れ、拠点形成を進めたい」と話す。


[双葉町] 福島第1原発の立地町。原発事故後、埼玉県加須市の旧騎西高に町民と役場が避難。役場は13年6月17日にいわき市に移った。同市のほか、災害公営住宅が整備される郡山、南相馬、白河各市も町外拠点と位置付ける。町内は96%が帰還困難区域、津波被災地の4%が避難指示解除準備区域。除染廃棄物の中間貯蔵施設が建設される。準備区域では15年度、除染が終了。16年度は帰還困難区域のJR双葉駅西側で面的除染が始まる。


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2016年06月25日土曜日


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