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<六魂祭>仙台で被災の跳人 元気届ける

出発前に跳人仲間と士気を高める奈良さん(中央)

 ねぶたが災いをにらみ付け、跳人(はねと)が災いをはね飛ばす。ねぶたの地元、青森で25日開幕した東北六魂祭のテーマは「跳」。パレードで跳人の先頭に立つ青森市の会社員奈良憲児さん(41)は、2011年3月11日、赴任先の仙台で被災した。直後に青森に戻ったことで葛藤を抱えていたが、六魂祭に参加する中で、被災地に元気を届ける自分の役割を見いだすことができた。
 「初めてねぶたに参加したのは0歳。跳人の衣装でベビーカーに乗り、市内を練り歩いた」。青森市出身の奈良さんは、物心つく前から跳人一筋。社会人となり、東京に転勤しても、ねぶた祭には必ず参加した。
 10年4月に仙台に赴任したが、1年後に青森に異動する可能性が浮上した。「ねぶたに集中できる」と胸を弾ませていた3月11日、東日本大震災が発生。その日のうちに青森転勤を命じられた。
 アパートに走って帰り、同郷の妻いづみさん(35)と再会。車中泊をした車内のテレビに沿岸部の火災が映る。遺体が見つかっていることも知った。「青森に帰れるから」。落ち込むいづみさんを励ました。
 4月中旬に戻った古里には、欲しいものが手に入る普通の生活があった。「被災地から逃げ帰ってしまった」。後ろめたさから、7月に仙台で開かれた六魂祭には参加できなかった。
 テレビ画面に映る仲間は、ねぶたが運行できないトラブルの中でも東北を力づけようと頑張っていた。「自分も何かやらなければいけない」と、翌12年から六魂祭に参加してきた。
 今回は跳人約300人を先導し、掛け声で士気を上げた。「復興が進まず、まだ前を向けない人がいる。祭りを通して元気を届けたい」。東北の復興を願い、奈良さんは今年も跳ねる。


2016年06月26日日曜日


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