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岩手・岩泉PFI 疑問残し幕引き

河北新報社が入手した内部資料と事業の実施方針案(写真は一部加工しています)

 岩手県岩泉町の子育て支援住宅整備のPFI(民間資金活用による社会資本整備)事業で、落札した「岩泉CCSグループ」の提案書作成に町の事業者選定委員だった有識者の男性の関与が指摘された問題は、町の調査委員会が「不適切な関与はない」と結論付けた。調査委には第三者の目が入っておらず、7月の本契約を前に、町議会や事情を知る関係者には疑問がくすぶる。(盛岡総局・横山勲)
<専門知識足らず>
 「PFI導入の手続きは複雑で専門知識が必要。町にはノウハウがなく、性善説に立って選定委員をお願いした。結果的に問題はなかった」。町が調査結果を議会に示した5月26日、調査委員長の中居健一副町長はこう説明した。
 事業者公募は昨年9月にあり、価格審査を経た県内3グループが参加。選定委の審査を経て、昭栄建設(盛岡市)を代表企業とするグループが落札した。
 関係者によると、町にPFIを提案したのは「岩手県まちづくり研究協会」。男性が顧問、会長が大槌町の復興コンサルティング会社代表、副会長が昭栄建設社長だった。
 町は問題発覚を受け、4月に幹部5人による調査委を設置。男性や関係者の聴取では提案書への明確な関与を確認できず「委託契約が定める守秘義務違反はない」とした。中居副町長は「町民から心配の声があったのは事実。疑惑を持たれないよう透明性のある事業進行に努めたい」と語る。
 事情を知る関係者は結末を「グループ側の筋書き通りだ」と推し量る。
<「利害関係ある」>
 河北新報社が入手した内部資料によると、グループ代表の昭栄建設は、鹿児島県で計画中の大規模住宅整備のPFI事業に別会社を通じて参加する予定。この事業で男性とコンサルタント契約を結んでいる。
 関係者は「岩泉の事業規模では利益がほとんど出ない。今後の事業展開を踏まえての実績づくりだ」と言う。町議の一人も「常識的に考えて町に事業提案する人には利害関係がある。なぜ何も考えず男性を選定委に加えたのか」と町の依存体質を疑問視する。
<情報開示徹底を>
 PFIの実績がある他自治体でも、民間の選定委員への規制はほとんどない。盛岡市は2008年、火葬場整備事業をPFIで公募。大学教授らと市幹部による選定委の設置要綱は作ったが、守秘義務に関する項目は設けなかった。
 同市の担当者は「規制が強すぎると選定委が負担となり敬遠される。現実的には人選段階で業者との利害関係の有無を確かめるほかない」と指摘する。
 近畿大経済学部の中林純准教授(産業組織論)は「価格以外に決定要素がある落札は経緯が不透明になりがちで、民間選定委員への規制が緩いのは危険。守秘義務違反があった際に損害賠償を求めるなど規定を明示することや徹底した情報開示が必要だ」と話す。


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2016年06月26日日曜日


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