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<参院選>奨学金拡充を訴え 財源の明示なし

 参院選(7月10日投開票)の公約に、与野党が大学生への奨学金制度拡充を競うように打ち出している。若年層の貧困拡大で卒業後の返済に苦しむ若者が急増している背景がある。学生の期待感が高まる一方、専門家は、財源の明示などで実現に向けた信頼性を確保するよう求めている。(報道部・丹野綾子)
 主要5党が参院選公約に打ち出した奨学金拡充策は表の通り。奨学金貸与事業を行う日本学生支援機構(横浜市)への返済が不要な給付型の導入、貸与型奨学金の無利子化など内容に大きな違いはない。
 「借金を背負って社会人になるのはつらく、給付型はありがたい。大学進学のハードルも下がるし、『返済のために給料のいい会社に就職しなくては』というプレッシャーも軽くなる」。月5万円の貸与型奨学金を利用する仙台市内の私立大4年の男子学生(21)は各党の公約を歓迎した。
 同じく月5万円を借りる市内の国立大3年の女子学生(20)も「借りたお金を返すのは当然のことだけれど、せめて返済は無利子にしてほしい」と願う。
 2014年度に機構の奨学金を利用した学生は2.6人に1人の割合で、10年前の1.7倍に増加。研究者や弁護士でつくる「みやぎ奨学金問題ネットワーク」が昨年11月に宮城県内の私立大生に行った調査でも2人に1人が何らかの奨学金を利用し、9割が将来の返済に不安を抱いていた。
 ネットワーク共同代表を務める佐藤滋東北学院大経済学部准教授(地域財政論)によると、親の平均給与減少で学生の収入が減っているのに、授業料は上がり続ける背景がある。40年前と比べ国立大は20倍、私立大は5倍になった。
 ネットワークの調査では返済額が800万円を超す学生もおり、卒業後の返済期間は最長で20年。若者の2人に1人が非正規雇用という現状の中で返済が滞り、結婚や出産の足かせになるケースも多いという。
 佐藤准教授は「若者の貧困化が進む中で、個人の自己責任では済まない。所得向上は簡単ではないが、給付型奨学金の導入などは比較的すぐに若者を救える」と政治課題として注目されたことを評価する。
 一方、「財源が明確に示されておらず、選挙後の実現性に疑念が残る。拡充策とセットで財源の見通しも明らかにするべきで、政党の見識や姿勢が問われている」と指摘する。


2016年06月27日月曜日


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