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<参院選宮城>廃棄物 進まぬ事態に怒り限界

汚染稲わらが保管されているビニールハウス。周囲には放射線の遮蔽(しゃへい)などのためとして黒い土のうが積まれている=登米市迫町

◎地域の現場から/消えない廃棄物

 「これだけ問題が長引いているのに、国はよく簡単に『解決に導く』なんて言えたもんだ」
 ビニールで覆われた巨大な牧草ロールを前に、宮城県栗原市金成の畜産農家山家(やんべ)賢蔵さん(68)は吐き捨てるように言った。
 東京電力福島第1原発事故で、所有していた牧草が放射性物質に汚染された。あれから5年近く、約50ロールを自宅の敷地内で保管し続けている。

<風評被害や廃業も>
 山家さん方の牧草はいずれも国の基準値(放射性物質濃度1キログラム当たり8000ベクレル)を下回る。環境省は基準値以下は各自治体が処分するとの方針を崩しておらず、国と東電が全責任を負うよう求める地元との溝は埋まっていない。
 生産する牛の枝肉は風評被害にさらされた。原発事故後に一時出荷停止となり、2011年8月の出荷停止解除後も価格が3割ほど落ち込む時期が続いた。廃棄物問題の長期化と生産者の高齢化も重なり、市内では事故後、70戸以上の畜産業者が廃業した。「地域の産業の崩壊を政治が食い止められなかった」と、やるせなさがこみ上げる。
 この5年余り、地元選出の現職候補2人が地域に足を運ぶのを見た記憶がない。選挙向けの2人の政策チラシには「復興」の二文字が踊る。ただ、事態が進展しない牧草問題に直面しているだけに、他の政策にも懐疑的な山家さん。「具体的な見通しがないなら、いいかげんなことは言わないでほしい」と注文する。

<処理の議論「封印」>
 8000ベクレル以上の汚染物を処理する最終処分場の候補地選定を巡っても、有権者は国の対応にいらだちを募らせる。県内自治体で最多となる、2235トンの基準値超えの稲わらを抱える登米市では、農家の怒りが我慢の限界を超えている。
 国が当初示した保管期限は2年。「国の責任で処分する」との言葉を信じたが、候補地の調査受け入れを拒む自治体の反対を理由に期間は延長されてきた。
 登米市迫町の専業農家新田尚さん(63)は「もう5年がたつのに、汚染稲わらは残ったまま。このままではさらなる風評被害の恐れもある。早く事態を前に進めてほしい」と訴える。
 現職候補2人がこれまで栗原、登米両市で有権者を前に語ったのは経済や教育、農政などが主軸。汚染廃棄物の処理については「封印」した格好だ。
 ある市議は「政策の方向性が見いだせず、触れたくないのだろう。『国の責任』と言うからには、国政選挙でこそ語るべきテーマなのだが」と肩を落とした。(栗原支局・土屋聡史、登米支局・本多秀行)
[メ モ]県によると、東京電力福島第1原発事故に伴う県内の指定廃棄物は9市町の3404トン。国の基準値(1キログラム当たり8000ベクレル)を下回るものは23市町村の4万69トン、基準値を超えるとされながら保管自治体などが国への申請を保留した未指定分は14市町の2530トン。稲わらや牧草、ほだ木などの農林業系廃棄物が大半を占める。

 ◇宮城選挙区立候補者(1−3) 
熊谷 大41 党青年局次長 自無現(1)(公・日推)
桜井 充60 元財務副大臣 民 現(3)(共・社・生推)
油井哲史36 幸福実現党員 諸 新 


2016年07月01日金曜日


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