宮城のニュース

<参院選宮城>競り合い 過熱の一途

候補者の演説に耳を傾ける有権者ら=6月30日、多賀城市

◎奔流乱流1強政治 東北激戦区ルポ(3)

 陣営の楽観ムードは、焦燥感に変わった。3期18年のベテランの表情から余裕が消えた。
 「毎朝、駅に立って候補者の名前を連呼しろ。自民の追い上げを許すな」。1日夕、仙台市内のホテルであった民進党県連の選対会議で、県連代表安住淳は居並ぶ30人の幹部を前に、早口でまくしたてた。

<猛追に戦術変更>
 改選数が2から1に減り、再選を期す自民熊谷大と4選を目指す桜井充の両現職が激突する参院選(10日投開票)宮城選挙区。全国に先駆けて共産、社民と野党共闘を組み、序盤戦を優位に進めた桜井陣営が、与党の猛烈な追い上げにさらされている。
 6月28日、JR仙台駅前であった共産党委員長志位和夫と安住の演説会。志位が「命運を懸けた選挙だ。宮城で必ず勝利を勝ち取る」と語気を強めた同時刻、桜井は県北部に選挙カーを走らせ、雨の農村でひたすら支持を呼び掛けていた。
 夜、登米市の演説会で全ての支持者を見送った後、桜井は「自民の組織力はすさまじい。この辺で軍を引き揚げてくれればな」と弱音を漏らした。
 「ずっと地域を回り続けてきた自負がある。大物弁士には頼らない」と強気だった桜井。曲げて来援を依頼した党代表岡田克也がラストサンデーの3日、仙台入りする。局面打開、再浮上への一手を託す。

<「党の看板」続々>
 「相手の背中が明確に見えた。中盤、終盤で追い付き追い越す」。熊谷は6月30日、地方創生担当相石破茂と加美、富谷、利府、多賀城の4市町を6時間かけて回り、計8カ所で街頭演説した。マイクを通した声に自信がみなぎる。
 14、25日に宮城入りした首相安倍晋三に加え、政調会長稲田朋美、外相岸田文雄、党農林部会長小泉進次郎ら党の看板を連日のように投入する自民。みこしに乗せた熊谷を圧倒的な物量で押し上げる作戦に出た。
 東日本大震災で最も多くの犠牲者を出した宮城で議席を失うことは、政権与党にとってダメージが大きい。党本部は団体や企業に顔が利く別動隊も逐次送り込み、情勢をほぼ互角にまで持ち直した。
 県議会6月定例会会期中の28日。議会棟の喫煙室でくつろぐ自民党所属議員の携帯電話が、次々と鳴った。電話口から聞き覚えのある甲高い声が響いた。
 「安倍晋三です。厳しい戦いですが、熊谷さんをよろしくお願いします」
 背筋を伸ばし「寝ないで頑張ります」と、電話に向かって忠誠を誓う議員たち。安倍は市議や首長にも電話を入れ、議席死守への覚悟を県全域に充満させた。
 県連幹部は首相の勝利への執念に脅威を覚え、震える。「首相が地方議員一人一人にまで直接電話するなど聞いたことがない。一気にけりをつけるつもりだ」
(敬称略)

 【宮城選挙区立候補者】(1―3)
 熊谷  大41 自現(1)(公・日推)
 桜井  充60 民現(3)(共・社・生推)
 油井 哲史36 諸新 


2016年07月02日土曜日


先頭に戻る