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<参院選宮城>独居者孤立 支援薄く

災害公営住宅の住民に手を振る候補者。孤立する高齢者の問題はほとんど語られなかった=亘理町荒浜

◎地域の現場から/集団移転先の高齢化

 高齢化率45.2%。
 東日本大震災で被災した亘理町の災害公営住宅全体の入居者に占める65歳以上の割合だ。町全体の高齢化率28.2%(3月末時点)を大きく上回る。被災地はまさに将来の日本の超高齢社会を先取りしているかのようだ。

<「地域で見守りを」>
 被災者向けに町が整備した下茨田南災害公営住宅。3、4階建ての集合住宅が3棟並ぶ。6月下旬、1年前から住む80歳の独身男性を町社会福祉協議会の生活支援相談員が訪問した。
 インターホンを鳴らしても男性が出てくる気配はない。ドアを開けると、耳が遠い男性はイヤホンを付けてテレビの前に座っていた。相談員がそばまで近づくと、目を見開いて驚き、そして、柔和な笑顔を見せた。毎回、このやりとりが繰り返されるのだという。
 お年寄りの孤立を防ごうと、相談員らが独居者を中心に週に1、2度のペースで訪問する。
 男性は町中心部の一戸建てに一人で住んでいたが地震で壊れ、仮設住宅を経て公営住宅へ。元々社交的だったのに、今はテレビの前で一日を過ごす。1カ月前から住民によるラジオ体操に加わるようになったものの女性が多く、この男性は「やっぱり女の人は強いね」と笑うばかりだ。
 町には被災者を見守る相談員ら約20人分の年間人件費約3000万円が国から出ている。ただ予算がいつまで続くかは分からない。町の担当者は「民生委員ら地域での見守り体制をしっかり作っていきたい。残された時間は長くはない」と気を引き締める。

<争点にならず失望>
 参院選公示後、候補者が被災地を駆け巡っているが、集団移転先の高齢化の現実を語る候補はほとんどいない。
 亘理町の北隣にある岩沼市。選挙戦前半、集団移転先として整備された玉浦西地区で現職候補2人が相次いで演説を行った。田んぼを埋め立て、整然と整備された地区の高齢化率は市内最高の34.1%。市全域より10.6ポイント高い。
 だが、両候補は、高齢化問題に触れることはなかった。6月25日に遊説で訪れた安倍晋三首相は「争点は経済政策」と言い切った。
 「玉浦西に来たのに、首相や候補者から高齢化の話が出ないのはがっかり」。岩沼市社会福祉協議会の幹部が嘆き、訴える。
 「多くの高齢者は家にこもってテレビを見ている。出たくても出るところがないのが現実。だからこそ、住民が交流するサロン活動を継続的に行うための予算が必要なのに…」
(亘理支局・安達孝太郎、岩沼支局・桜田賢一)

 ◇宮城選挙区立候補者(1−3) 
 熊谷  大41 党青年局次長 自無現(1)(公・日推)
 桜井  充60 元財務副大臣 民 現(3)(共・社・生推)
 油井 哲史36 幸福実現党員 諸 新 


2016年07月02日土曜日


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