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<参院選宮城>コスト増 厳しい土俵

サンマの薫製の出来を確認する清水さん。販路回復の難しさを痛感している

◎地域の現場から/復旧半ばの水産加工業

 桜チップで薫製したサンマが黄金色に輝く。宮城県気仙沼市鹿折地区の水産加工業マルトヨ食品で、専務の清水浩司さん(51)がてきぱきと仕事を進める。
 東日本大震災の津波に見舞われた工場を8カ月後に復旧。敷地がかさ上げされることになり、近くで新工場建設に着手した。
 来春完成するが、清水さんの表情は晴れない。「新工場ができても厳しい現状は変わらない。こつこつ試行錯誤を続けるしかないと感じている」

<販路回復の道険し>
 再開時、既に他業者に販路を奪われていた。「過去の商品だけでは失地回復できない」。県の支援アドバイザーを活用しながら新商品を開発し、東京の販売会に足しげく通って消費者との直接取引も開拓した。
 しかし、売り上げは震災前の7割にとどまる。外国漁船による近年の漁獲増で原料が値上がりし、流通費も上昇。復興事業に働く人を奪われるため、賃金も上げた。
 「震災前は、作れば作っただけ売れた。今はさまざまなコスト増を抱え、経験のない厳しい土俵で戦っている」というのが率直な実感だ。
 県と市が水産加工業の人材確保支援策として、社員の宿舎整備の補助制度を始めたが、「うちのような従業員10人の小さな会社には無理」。「少子高齢化の進展で、地方の労働力は先細る一方。政治が本気で考えるべきテーマだが…」とため息を漏らす。

<具体的政策見えず>
 東北経済産業局が国のグループ化補助金を受給した県内2893業者を調べたところ、昨年6月時点で売り上げが震災前まで回復したのは44.9%。業種別にみると水産・食品加工業が27.8%で苦戦が際立つ。
 宮城県石巻市でも再建した水産加工場に高性能の設備を整えてはみたものの、売れる範囲でしか生産せざるを得ずに稼働率を落とすケースが少なくない。
 参院選宮城選挙区に立候補した両現職は公示前から三陸沿岸の被災地に相次ぎ入っているが、「浜の経済再生を成功させる」「水産業の再生なしに街の活力は生まれない」と耳慣れたフレーズを繰り返すだけだ。
 市水産加工業協同組合の須田耕一郎参事は「水産加工業が立ち直るには二重三重の課題があり、まだまだ政治の力が必要。漁船漁業と水産加工業が両輪で成り立つような政策を実行してほしい」と訴える。(気仙沼総局・高橋鉄男、石巻総局・水野良将)

 ◇宮城選挙区立候補者(1−3)
熊谷 大41党青年局次長 自無現(1)(公・日推)
桜井 充60元財務副大臣 民 現(3)(共・社・生推)
油井哲史36幸福実現党員 諸 新 


2016年07月04日月曜日


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