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<参院選>置き去り 障害者の投票環境

介助を受けながら、点字で打った用紙を投票箱に入れる中村さん(右)

 参院選(10日投開票)で適用される「18歳選挙権」の陰で、視覚、聴覚障害者が一向に改善されない投票環境を嘆いている。候補や政党の政策を見極めるための情報入手のすべは限られ、投票所への移動も困難を伴う。「障害者の選挙権」は不便なまま、手放しにされている。
 全盲の団体職員中村哲さん(57)=仙台市宮城野区=は6月28日夕、仕事帰りに期日前投票をするため、JR仙台駅前のアエルに向かった。投票所には点訳された名簿がなく、横で職員が読み上げる候補者名などを聞いて点字を打ち、投票を済ませた。
 先天性緑内障の中村さんは国政や地方選で20回以上、投票してきた。点訳名簿の不備など、配慮に欠けた環境は何も変わっていないといい、「障害のある人が同じ思いをしない社会になってほしい」との気持ちを1票に込める。
 宮城県視覚障害者情報センターによると、県内の視覚障害者手帳保持者は5334人で、うち点字習得者は1割程度。点字版の選挙公報や資料を理解できず、投票を諦める人も多い。立会人らに代筆をお願いする代理投票もあるが、「投票先を知られてしまう」と敬遠する人もいる。
 点字ブロックや段差を目印にする視覚障害者が、慣れない道を歩いて小中学校などの投票所に向かうのは容易ではない。
 中村さんは「視覚障害者の支援施設などに期日前投票を設けてほしい。18歳選挙権で盛り上がっているが、障害者の選挙権も保障してほしい」と話す。
 聴覚障害者を取り巻く環境も同様で、投票所への手話通訳者の配置など課題は山積している。県内に6256人いる聴覚障害者手帳保持者のうち、手話を理解できるのは2割弱。候補の訴えを知りたくても、街頭演説や講演会では手話通訳さえない場合がほとんどだ。
 候補者の演説内容などを手書きやパソコンで伝える「要約筆記」の支援制度はあるが認知度が低く、利用は広がっていない。
 県聴覚障害者情報センターの松本隆一施設長は「障害だけでなく、加齢による難聴者が増えている。社会全体の高齢化が進む中、支援ニーズは拡大しており、政治の早急な対応が問われている」と指摘する。


2016年07月05日火曜日


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