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<参院選かすむ政治>地方経済 疲弊色濃く

G7会議の会場となった秋保温泉郷を背景にした案内板(左)と会議風景(右下)のコラージュ

◎生活の現場から/アベノミクス G7会議開催地でも閑散

 至る所にあった歓迎のフラッグや大型装飾は、すっかり消えた。店の前は「祭り」の後、いつもの閑散とした光景に戻った。
 仙台市太白区の秋保温泉で5月20、21日に開かれた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議。温泉街の外れで美容室を営む60代の女性の口から、「潤ったのはホテルくらいかな」と冷めた言葉が漏れた。
 秋保の魅力を世界に発信し、海外からの誘客につなげる。世界中の関心を集める会議は、またとないチャンスだ。地域を挙げて開催機運を盛り上げた。
 会議が近づくにつれ、辺りは警察官や警備員であふれかえった。会議が終わるまで、店を1週間ほど閉めた。「期間中は誰も出歩かないから。どこも開店休業だった」

 秋保で生まれ育ち、7年間の下積みを経て約40年前に開業した。秋保温泉が木造旅館4軒の小さな温泉街から、大型のホテルや旅館が立ち並ぶ高級保養地へと姿を変え始めた頃だ。
 「芸者さんやルーム(仲居)さんが日髪(ひがみ)と言って、毎日のように髪をセットしに来た」。朝から晩まで働いた往時を懐かしむ。
 平成に入ると、バブル崩壊や官官接待問題のあおりで宿泊施設の宴会需要が激減した。「不景気になって最初に切り詰めるのは美容。一番のぜいたくだから」。常連だったホテル関係者の客足は途絶えた。
 「昔と違い、今は温泉街でげたの音が聞こえない。宿泊客はホテルの中で何でもできるから」。ホテルや旅館が潤っても、その恩恵が地域の零細企業までは届かないと諦めている。
 業界の競争は激しさを増すばかり。仙台市内の美容室は1400軒余り(2014年7月)で、コンビニの3.7倍もある。「誰でも安い所に行くのは当然」。売り上げは最盛期から6〜7割減った。店は一代限りで閉めるつもりだ。

 G7会議で世界経済減速への懸念を各国が表明したこともあり、安倍晋三首相は消費税増税を再延期した。参院選で安倍政権の経済政策アベノミクスは「道半ばだ」「失敗だ」と争点になっているが、「自分たちの生活とは関係ない」というのが偽らざる実感だ。
 華々しい国際会議を成功させた秋保温泉の足元も、疲弊する地方経済のご多分に漏れない。「田舎の零細企業にも目を向け、手を差し伸べてほしい」という願いを託せる候補者は誰か、慎重に見極めている。(報道部・小沢一成)


2016年07月06日水曜日


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