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<参院選宮城>語られない女川原発再稼動

東北電が再稼働を目指す女川原発。参院選で是非を問う論戦は宙に浮いている

 10日投開票の参院選宮城選挙区(改選数1)で、東北電力女川原発(女川町、石巻市)の再稼働の是非が語られないままになっている。事実上の一騎打ちを繰り広げる自民党現職の熊谷大(41)、民進党現職の桜井充(60)の両候補とも積極的な言及を避け、論戦の場にすら上っていない。
 河北新報社が候補者に実施したアンケートで原発再稼働など原子力を前提にしたエネルギー政策について、熊谷氏は「賛成」、桜井氏は「どちらかといえば反対」との考えを示した。
 熊谷氏は「原子力は重要な電源。新規制基準に適合すれば、立地自治体関係者の理解と協力を得て再稼働を進める」、桜井氏は「原発に依存しない社会を早期に実現させることが重要。再稼働は安全確認や避難計画の策定を前提に、地域の意見を尊重する」と答えた。
 公示後の街頭演説や個人演説会では、両候補とも原発政策や女川原発再稼働についてほとんど触れず、選挙公報にも記述はない。
 原発政策に触れない理由を熊谷氏は「報道各社の政策アンケートなどで自分の考えは明らかにしており、言うまでもないこと」と説明。桜井氏は「有権者に訴える時間は限られる。経済や社会保障など、より有権者の関心が高いテーマを優先している」と話す。
 女川原発2号機を巡っては東北電力が2017年4月以降の再稼働を目指しており、原子力規制委が新規制基準に基づく安全性の適合審査を進めている。
 前回参院選(13年)では共産党が宮城選挙区に公認候補を立て、女川原発再稼働の反対を主張した。今回は野党共闘の成立で独自候補の擁立を見送ったため、原発問題の議論が埋没する形になった。
 再稼働の是非が争点化されない選挙戦に、地元からは憤りの声も上がる。
 長年、反原発運動を続ける女川町の阿部美紀子町議(64)=無所属=は「国策である原発問題は国政選挙の場で論じるべきなのに、タブー視して誰も語らない。東京電力福島第1原発事故の教訓が忘れ去られてしまわないか」と、与野党双方に疑問を投げ掛ける。
 上智大国際教養学部の中野晃一教授(政治学)は「原発問題は国民の関心事なのに、接戦の1人区では立地地域や電力会社関係者などの反発を恐れて候補者は言及しなくなる。一種のカルテルのような状態だ。有権者の問題意識を候補者に直接伝えることが大切だ」と指摘する。
 幸福実現党新人の油井哲史候補(36)は女川原発の再稼働を訴えている。


2016年07月07日木曜日


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