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<参院選争点を歩く>村民に響かぬ処方箋

候補者の訴えに耳を傾ける有権者。秋田選挙区では全国最速で進む少子高齢化にいかに歯止めをかけるかが課題だ=2日、秋田県上小阿仁村

◎人口減 若者雇用展望示せず

<消滅の不安>
 村は消えるのか。焦り、不安、諦めが漂う。展望を示す訴えは聞こえない。
 秋田県中央部の山あいにある上小阿仁村。人口は約2300。65歳以上の高齢化率は48.8%(2015年10月1日現在)に達し、全国最速で高齢化が進む県内の中でも最も高い。
 「2060年、国の予測では村の人口は660になる。だが、全国でも減っている。嘆くのはやめよう」
 自民党農林部会長の小泉進次郎は4日、参院選秋田選挙区(改選数1)で再選を目指す自民党現職石井浩郎の応援のため、同村に入った。
 小気味良い語り口だった。じっと訴えを聞いていた元営林署職員の小林春雄(77)は一瞬、「心配ばかりしても仕方ないかな」と思いかけたが、すぐに頭を振った。
 小林が20代だった1960年、村の人口は7000近かった。製材所は八つ。縫製工場も数多くあり、村には働き口があった。今は製材所が一つだけ。「このままでは子どもたちがかわいそう」との思いが募る。
 村民が渇望するのは雇用の確保だ。農業以外、主な勤め先は村役場と農協の支店しかない。若い世代をつなぎ留めるには不十分だ。

<「仕方ない」>
 民進党元議員の松浦大悟は6月29日、村内を約1時間半かけ、選挙カーで駆け巡った。各地の演説では「子どもが生まれ、秋田で育ち、結婚して家族が増える。そしてみんなで安心して年を重ねられるように社会保障や人に税金を投資する」と訴える。
 少子高齢化の先端を走る村が直面する課題への処方箋は、両陣営とも一般論の域を出ない。経済対策もそうだ。「若者の流出を防ぐため、地域に仕事をつくる」(松浦)「景気が良くなったと言われるまでアベノミクスを続ける」(石井)
 村の30代女性は「人口減は自然の流れ。仕方がない」と諦めにも似た思いを口にした。
 過疎の村では争点が明確にならないまま、選挙戦は最終盤を迎える。
 2人の孫が村外で働くという無職の男性(80)がつぶやく。「地域に働く場がなければ若い人は去り、子どもが生まれない。このままだと、村がなくなるかもしれない」(敬称略)


2016年07月07日木曜日


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