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<参院選宮城>介護政策 問われる方向性

 参院選(10日投開票)では、在宅ケア推進と施設整備のどちらにより重きを置くべきなのか、介護政策の方向性が問われている。介護保険制度改正による負担増、困窮の不安などに直面する宮城県内の当事者や福祉関係者からは、実態とのギャップや各党公約との矛盾を指摘する声が上がる。

<制度改正 負担増>
 国は2015年度、急激な高齢化で膨らむ介護保険費用を抑えるために制度を改正した。施設から在宅介護への移行を促す内容で、一定所得以上の高齢者の自己負担を引き上げるなどした。
 「在宅は理想だが、24時間365日では介護する側も持たない。働きながらケアするのは難しい」。病気の父(90)と認知症の母(87)を抱える仙台市青葉区の会社員男性(57)は現状を嘆く。
 父については特別養護老人ホームへの入居を希望したが空きがなく、3カ月ごとに入退所判定がある老健施設に入った。制度改正で自己負担が1割から2割になり、部屋代なども含め費用は月25万円前後になる。
 男性は「施設に預けられなくなれば介護離職に追い込まれかねず、実態と政策にずれがある」と憤る。
 在宅介護の現場も綱渡りだ。塩釜市の女性(70)はデイケアとショートステイを利用し、徘徊(はいかい)の傾向がある認知症の義母(94)を自宅で介護する。
 月6万〜8万円の負担は義母の年金で賄うが、これ以上負担が増えれば生活は困窮する。夫(72)も体調を崩しており、女性は「いつ『下流老人』になってもおかしくない。介護しながらでも最低限の生活をさせてほしい」と訴える。

<各党公約に矛盾>
 国は、高齢者が住み慣れた地域で暮らせるよう介護や医療、生活支援など多職種連携の地域包括ケアシステム構築を進めてきた。制度改正による在宅介護への移行促進も、地域包括ケアの流れに沿う。
 一方、参院選では自民党が「介護離職ゼロ」を打ち出し、労働力の確保によって介護の受け皿を50万人分増やすと主張。野党も待機者解消に向け施設増を掲げるなど、施設介護に力点を置いた公約が並ぶ。
 「地域包括ケアとは方向性が矛盾している」と言うのは、仙台市地域包括支援センター連絡協議会の折腹実己子会長(62)。「介護職員が足りず、現状でも定員まで預かれない施設があるのに、施設増は本末転倒だ」と指摘する。
 折腹会長は「在宅での介護を支援する地域包括ケアに予算を投入して制度充実を図るべきで、介護政策をどうしていくのか道筋が見えない」と疑問視する。

[介護保険制度改正の主な内容]特別養護老人ホームに要介護度の高い人を優先入所させるため、要件を「要介護度3以上」に厳格化。一律1割だった自己負担を一定所得以上の高齢者は2割に引き上げたほか、施設入所の低所得者向けの部屋代や食事代補助を一部対象外にするなどした。


2016年07月08日金曜日


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