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<参院選福島>原発被災者 論戦期待外れ

昨年9月に避難指示が解除された福島県楢葉町で、候補者の演説を聞く住民ら=6月30日

 最終盤に入った参院選(10日投開票)の福島選挙区(改選数1)で、各候補者はそろって東京電力福島第1原発事故からの復興加速を声高に叫ぶが、被災者に十分に響いているとは言い難いのが現状だ。「今後の雇用はどうなるのか」「帰還困難区域も除染してほしい」。有権者の疑問や要望はむしろ募っている。

@福島県楢葉町
 昨年9月に避難指示が解除された楢葉町。6月30日、自民党現職の街頭演説で、応援に駆け付けた党幹部は「自民党は福島復興の道筋をつくってきた。8月にはさらに数年間の福島の構想を示す」と訴えた。
 繰り返される「復興」の言葉。60代の男性会社役員は「政策が具体的ではない」と物足りなさを感じる。
 事故前に住んでいた隣の富岡町は避難指示が続く。「帰りたい」との思いもあったが、いつまでも待てないと昨年11月、楢葉町に自宅を新築した。
 「与党にも野党にも期待はない。期待するような訴えもない。どっちも大して変わらないと思う」

@福島県大熊町
 いつになったら古里に戻れるのか。大熊町の帰還困難区域から会津若松市のプレハブ仮設住宅に避難する塚本英一さん(75)は妻と2人、将来の見通せない日々を送る。
 市内では6月27日、民進党現職が遊説に駆け回った。話を聞きに行かなかったが、候補者や国への願いはもちろんある。
 「とにかく除染して早く避難指示を解除してほしい」
 原発で40年近く働いた。自身が放射線に不安を抱いていなくても、国が帰還困難区域の対応を決め、除染をしないと、帰還することは許されない。
 現在は月に1度、自宅の片付けに帰るが、滞在できるのは数時間だけ。「もう少し長い時間入れるようにならないか」。聞きたいのはより詳細な説明だ。
 同じ仮設団地に住む無職の男性(44)は雇用の行方が気になる。「復興関連の土木や建築工事は長くは続かない。『その先』を示してほしい」と求める。

@福島県葛尾村
 候補者は有権者のいる地域を走る。葛尾村は6月12日、大部分の避難指示が解除されたが、帰還者は少ない。選挙カーは来ない。
 村内には除染廃棄物の仮置き場が広がる。家屋は5年前に被災したまま。本格的な解体もこれからだ。
 「何せここではやることが山積み。(政治を)誰がやっても一気に片付くとはいかねぇだろう」。田村市の避難先から家財の整理に通い続ける除染作業員松枝美津男さん(62)は苦笑いするしかない。
 村東部にある地元の岩角行政区は24世帯。「家ができたら俺は帰るつもり。でも、ほかに戻ってくる人はいねぇかもしれない」


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2016年07月08日金曜日


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