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<参院選争点を歩く>復興 掛け声だけが響く

かさ上げ工事が進む被災地を走る選挙カー。候補者が訴える復興施策は具体性を欠く=釜石市

◎被災地再生 具体策や対立軸なし

<「フッコウ」>
 「フッコウ」「フッコウ」の乾いた掛け声だけが、東日本大震災の被災地にこだまする。
 岩手選挙区(改選数1)に立つ自民新人田中真一は5日、釜石市平田の尾崎白浜地区に入った。真新しい漁港施設が建ち、宅地のかさ上げ工事が進む集落で、「一刻も早く復興を成し遂げる」と声を張り上げた。
 震災で販路が失われた水産加工業の課題に触れた田中。「販路を広げ、所得向上につなげる。浜の再生なくして沿岸部の再生はない」と強調したが、具体論には踏み込まなかった。
 与党は震災復興と地方創生を掛け合わせた「復興・創生」を打ち出す。住まい再建や観光振興、1次産業の再生。掲げる政策で野党との差別化は図れていない。
 田中の前にマイクを握った党岩手県連会長鈴木俊一は「漁港整備を前に進め、地域にふさわしい水産業の振興に党を挙げて取り組む」と述べるにとどめた。
 無所属新人木戸口英司は、秘書を務めた岩手県知事達増拓也との関係をアピールし、「岩手を守り、日本を変える。震災復興、古里振興を進める」と訴える。

<実績を強調>
 震災発生時に政権与党だった旧民主党を前身とする民進党。宮城選挙区(改選数1)の現職桜井充は、財務副大臣だった当時の実績を押し出す。山元町で5日にあった演説会では、被災企業の復旧を支援するグループ化補助金の導入を進めたことに触れ「私がつくった予算、補助金で皆さんは再生した」と力を込めた。
 応援に駆け付けた元外相前原誠司も「グループ化補助金の創設、二重ローン問題の解消は桜井が中心となった」と同調した。ただ、演説で多くの時間を割いたのはアベノミクス批判。復興を巡る対立軸は野党も明確に打ち出せていない。
 宮城県内で2015年度までに投じられたグループ化補助金は3937事業者に約2456億円。東北経済産業局によると、事業再開にこぎ着けた事業者は多いが、売り上げが震災前の水準に戻ったのは約4割、雇用は約5割にとどまる。
 「復興を加速するために経済成長を前に進める必要がある」。自民現職熊谷大はアベノミクスの成果を絡め、政権継続に絞った訴えを繰り返すのみだ。
 震災発生から4回目の国政選挙となる参院選。口当たりの良い共通公約となった感もある「復興推進」で、具体的な選択肢は有権者に示されていない。もはや「争点」とは言えない空虚な状況が生まれている。(敬称略)

 ◇岩手選挙区立候補者(1―3)
石川 幹子51 幸福実現党員 諸 新
田中 真一49 党県支部長  自 新(公推)
木戸口英司52 元知事秘書  無 新(民・共・社・生推)

 ◇宮城選挙区立候補者(1−3)
熊谷 大41党青年局次長 自無現(1)(公・日推)
桜井 充60元財務副大臣 民 現(3)(共・社・生推)
油井哲史36幸福実現党員 諸 新 


2016年07月08日金曜日


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