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<東北食べる通信>被災地発 食の再生に奮闘

阿部さん(左)の漁船から魚取りの仕掛けを引き揚げる見学ツアー参加者=石巻市牧浜
各地で発行される「食べる通信」

 農漁業者を紹介する冊子と手掛けた生産物をセットで届ける月刊誌「東北食べる通信」が今月、創刊3年を迎えた。東日本大震災の被災地発祥の取り組みは1次産業支援のツールとして注目を集め、後進の「食べる通信」が全国各地に30誌生まれた。今後は各誌が協力して部数を増やし、生産者と消費者の交流拡大をより強く後押しする。
 東北食べる通信は、被災した生産者の支援を目的に花巻市のNPO法人「東北開墾」が2013年7月に始めた。これまで「北海道」「四国」「綾里漁協」「高校生が伝えるふくしま」などの食べる通信が発行されている。
 15年10月に創刊した「そうま食べる通信」は年4回、各3500円で販売する。編集は地元の建設会社社長や漁業者らが担当。小幡広宣共同編集長は「東京電力福島第1原発事故の風評被害で厳しい状況にある相馬だからこそ生産者の熱意や努力を伝える意義がある」と話す。7月号では試験操業で漁を6月に再開したホッキ貝を取り上げる。

<誌面契機に交流>
 誌面をきっかけに消費者との交流が始まったケースもある。東北食べる通信創刊号で紹介された石巻市牧浜のカキ養殖業阿部貴俊さん(46)は14年に消費者とじかに販売、交流する地域支援型農業(CSA)方式を導入した。会員は約90人に上る。
 生産現場のツアーも企画し、6月末に首都圏から会員6人が訪れた。沖合の養殖棚を見学し、漁を体験した。阿部さんは「うまいカキを育む豊かな自然と消費者の買い支えがないと環境を維持できない現場の厳しさを感じてもらいたかった」と狙いを説明する。

<イベントも開催>
 全国に広がった食べる通信は約1500部の「東北」を除き、多くが200部前後にとどまる。東北食べる通信の高橋博之編集長は「各誌の読者を増やすとともに、生産者と消費者をつなげる新しい仕組みづくりに力を入れる」と意気込む。各誌の購読は「日本食べる通信リーグ」のホームページで申し込みができる。
 17日には東北食べる通信の創刊3周年イベントを、いわき市の複合型農業テーマパーク「ワンダーファーム」で開く。入場無料で全国の食べる通信に登場した生産者が自慢の食材を販売し、座談会で取り組みなどを語る。


2016年07月08日金曜日


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