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<参院選岩手>復興論戦低調 被災者は不安

震災で被災した浜で支持を訴える参院選の候補者ら=釜石市

 参院選(10日投開票)の岩手選挙区(改選数1)で、東日本大震災からの復興を巡る論戦が深まらない。各候補は復興を重点公約に掲げるが、具体策は乏しい。震災から5年が過ぎ、工場や自宅を再建した沿岸被災者は「正念場はこれからなのに」と直面する課題の処方箋を切望する。

<融通利かせて>
 震災後、国政選挙は4度目(補選を除く)だが、被災地は深刻な状況が続く。
 岩手県山田町の水産加工「まるき水産」は、国のグループ化補助金で被災工場を修復した。起死回生へ新商品を開発したものの、バイヤーの反応は厳しい。
 首都圏企業とのマッチッングの場を提供するなど国の政策はあるが、人手や資金不足、原料高騰などが影響し、買い手が求める量産体制を整えられない。
 売り上げは震災前の10分の1程度。再建時の自己負担が重い。佐々木千鶴子社長(62)は「各種補助金は事後精算で、思い切った事業展開をしづらいなど制約が多い。融通を利かせてほしい」と求める。
 釜石市内の災害公営住宅で暮らす中村容堂さん(61)は、コミュニティーづくりや高齢者の見守り活動に不安を感じる。
 14年3月から2年間、市内で初めて発足した災害公営住宅自治会の会長を務めた。入居者32世帯は市内各地や隣町から集まった。地域の町内会も含めた融和に心を砕いてきた。
 市社会福祉協議会などが戸別に訪問するが、今後は集合型の公営住宅が10棟以上建つ。支援が手薄にならないか心配だ。被災者への家賃低減措置も入居6年目から段階的に縮小され、11年目にはなくなる。
 「仮設住宅よりも孤独感は強く、独居高齢者も多い。一人一人に合った支援の重要性はさらに増す」と中村さんは強調する。

<選択軸かすむ>
 選挙戦で、自民党新人の田中真一氏は元復興相で無所属の平野達男参院議員(岩手選挙区)と共に遊説する。「水産加工をはじめ、失った販路を一日も早く回復する」と訴える。
 野党統一候補で無所属新人の木戸口英司氏は、達増拓也知事の元政務秘書で被災地事情に精通すると強調。「被災者に寄り添い、時々に応じた支援策を講じる」と主張する。
 岩手県の面積は本州一。合区した鳥取・島根、徳島・高知と比べても1.4倍前後広い。候補者の声を直接聞く機会は少なく、復興を巡る選択軸はかすむ。
 大船渡市で街頭演説を聞いた団体職員男性(59)は「店を再開しても『こんなにつらいなら、あのとき死んでおけば…』と苦しむ人もいる。東北の復興なくして日本の再生はないと語られたのに、後ろに置かれているようだ」とつぶやいた。

 ◇岩手選挙区立候補者(1―3)
石川 幹子51諸新
田中 真一49自新(公推)
木戸口英司52無新(民・共・社・生推)


2016年07月09日土曜日


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