宮城のニュース

<ヤクルト>由規 慰め励まし家族の力

由規投手の登場に盛り上がる家族(左から)兄の史規さん、母の美也さん、父の均さん

 プロ野球ヤクルトの由規投手(26)=本名・佐藤由規、仙台育英高出=が9日、5年ぶりの1軍登板を果たした。2011年9月3日以来、1771日ぶりのマウンドは六回途中6失点で黒星と苦いものになったが、右肩のけがに苦しみ続けた年月を支えてきた兄史規さん(29)ら家族は神宮球場のスタンドから復帰戦を見届けた。
 「右肩に今まで感じたことのない張りがある」
 史規さんは苦難の始まりの日をはっきりと覚えている。11年9月3日の巨人戦。勝ち投手となった由規投手の登板を見届け、試合後に2人で食事をした際に打ち明けられた。
 「高校時代からどれだけ投げても大丈夫だった由規にしては珍しい」。宮城・東北高、東北福祉大で捕手を務め、由規投手を知り尽くす兄の不安は的中した。右肩痛は悪化し2軍暮らしが始まった。「あの日から1771日もかかるとは」
 13年4月、手術に踏み切りリハビリを経て実戦復帰まで約1年。その後も肩の状態は一進一退が続いた。14年まで育成選手としてヤクルトに在籍し、現在独立リーグのルートインBCリーグ福島でプレーする末弟貴規さん(23)を含め仲良しの3兄弟。それでも連絡を取るのに気を使うほどピリピリした時期もあった。
 そんな中、由規投手の一言が胸に刺さった。「頑張れって言われるのがつらい」。気丈な由規投手が初めて漏らした弱音に苦悩の深さを感じ、父均さん(55)、母美也さん(56)と話し合った。「『頑張れ』『大丈夫か』と言うのはやめよう」。代わりに「焦るな」「頑張り過ぎるな」と声を掛けた。「心の痛みを少しでも共有したい」との思いからだった。
 毎オフ、由規投手の自主トレーニングに同行している史規さんは今年1月、捕手として球を受けた時、ミットを通して過去5年間にはなかった感触を得た。「直球の重みが全然違う。ことしはいける」。期待通り由規投手は2軍で実績を残し、1軍へ戻って来た。
 試合後、由規投手は「勝利をプレゼントできれば良かったが、まずは投げる姿を見せられて良かった」と家族への感謝を口にした。「ここからが本当の勝負」と史規さん。完全復活を見届けるまで「おめでとう」の言葉は取っておく。


2016年07月10日日曜日


先頭に戻る