宮城のニュース

<参院選宮城>不協和音やまぬ総力戦

落選が決まり、支持者に頭を下げてわびる熊谷氏(左)=10日午後11時20分ごろ、仙台市宮城野区

 改選数が2から1に減り、現職同士が生き残りのデッドヒートを繰り広げた参院選宮城選挙区(改選数1)は、民進党の桜井充氏(60)が、再選を狙った自民党の熊谷大氏(41)を振り切り、4選を果たした。「野党共闘」と「1強自民」が真正面から激突した18日間と、雌雄を決した軌跡を振り返る。

◎苦闘の決算(上)空回り

<党県連が丸抱え>
 連日のように総力戦を仕掛けた巨艦は、わずか数分でもぬけの殻になった。
 JR仙台駅隣接地に構えた自民党現職熊谷大氏の事務所。10日午後11時20分すぎ、熊谷氏が静かに敗戦の弁を述べ終わると、国会議員や地方議員は、ねぎらいの言葉もそこそこに事務所を立ち去った。
 ある議員は「党県連は頑張った。熊谷の力不足だ」と吐き捨てるように言った。弱い後援会に代わり、党県連が選対を丸抱えした「異常事態」(県連幹部)。熊谷に対する身内の不満は最後まで消えなかった。
 「顔も分からない、話したこともない候補への投票は頼めない。無理だ」
 選挙戦終盤の7日。県南のある党支部役員会で、集票マシンとなるはずの役員から不満が噴出した。
 県内39市区町村のうち、熊谷陣営が制したのは4割弱の15市区町村。県内各地に張り巡らせたネットワークをフル稼働させる県連の公算は、大きく狂った。
 連立政権を組む友党との関係も最後までぎくしゃくしたままだった。固い結束を誇る公明票の3割強が流出し、敗北を決定付けた。
 「婦人部は敏感だ。気を使ってくれ」。1日、石井啓一国土交通相が来援した泉区の個人演説会で、公明県本部の幹部が熊谷陣営のスタッフに語気荒く迫った。本来「選挙区は熊谷、比例は公明」の結束を呼び掛ける場で、「比例は自民」のチラシを配布していた。
 公明が熊谷氏を推薦したのは公示3カ月前の3月下旬。過去の国政選挙の応援で熊谷が公明支持を鮮明にしなかったため、県組織同士の協議で協力体制を構築した経緯がある。幹部は「水を浴びせる行為だ」と不信感をあらわにした。

<本部もいらだち>
 党本部が最重点区と位置付け、安倍晋三首相や小泉進次郎党農林部会長らを次々に県内入りさせた強力なてこ入れは、足元の不協和音で上滑りに終始した。
 歯車がかみ合わない状況に、党本部の茂木敏充選対委員長も仙台入りのたびにいら立ちを募らせた。2日に仙台市青葉区のホテルであった県連の選対会議では、怒声交じりのののしり合いが通路にまで響いた。
 横一線を抜け出せない状況にしびれを切らした党本部は終盤、選挙カーの行程にまで口を出した。大物弁士の来援に合わせ、前夜にがらりと変わることも。迷走は明らかだった。
 投票まで残り1日となった8日午後9時すぎ、選対本部から急きょ、仙台駅前でのつじ立ちを指示された熊谷氏。たすきの到着が遅れ、1人で立ち尽くす合間につぶやきが漏れた。
 「思い付きの戦略が多すぎる。振り回されている」。党本部、県連、候補者は最後まで一枚岩になれないまま、幕切れを迎えた。(報道部・大橋大介)


関連ページ: 宮城 政治・行政

2016年07月12日火曜日


先頭に戻る