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<奔流乱流1強政治>見えぬ光 うねる怒り

花束を手に支持者と抱き合う田名部(左)。自民現職との大接戦を制した=11日午前0時10分ごろ、青森市の事務所

 第24回参院選は与党が改選過半数の61を大きく上回る議席を獲得し、改憲勢力が改憲発議可能な3分の2を占めた一方、東北6選挙区は与党が1勝5敗で惨敗した。全国を席巻した「1強」の奔流と、東北各地に渦巻いた野党の乱流。ねじれた戦いの実相に迫った。(参院選取材班)

◎参院選東北(上)野党圧勝

 4万票差の快勝から一夜明けた11日午後。宮城選挙区(改選数1)の民進党現職桜井充(60)は満面の笑みを浮かべながら、宮城県庁の知事応接室に入った。
 「仮設住宅で一生暮らしたいというお年寄りがいた」「新しい石巻市立病院の前は必ず大渋滞になる」

<むなしさ広がる>
 選挙中に見聞した東日本大震災の復興課題を次々と知事村井嘉浩にぶつける桜井。最大被災地の宮城で、巨大与党を粉砕した強烈な自負を見せつけた。
 「地方創生」「女性が輝く社会」「1億総活躍」。安倍政権は選挙戦で看板政策を次々に掲げた。
 被災地では赤土ばかりの新市街地用地が広がり、集団移転先は超高齢化。加工品販路は回復していない。政権復帰時のキャッチフレーズ「まず、復興」が忘れられたようなむなしさが広がっていた。
 桜井は「こんなことで復興できるのか。課題を一つずつ解決する」と被災地で語り続けた。被災者が胸に抱く政府への鋭い矛先を味方に付けた野党統一候補は、宮城、岩手、福島の被災3県で勝利をつかんだ。

<暮らしがしぼむ>
 「怒りの声が広がっていた」。10日午後8時、早々と当確報が出た山形選挙区(改選数1)の無所属元議員舟山康江(50)は、自由貿易を拡大する環太平洋連携協定(TPP)を引き合いに勝ちどきを上げた。
 東北では、福島を除く5県で農協系団体が自民党候補への推薦を見送った。かつて「TPP絶対反対」を掲げながら政権復帰後に交渉を進めた自公政権に、農家の不信感は高まった。
 与党が「公開資料が真っ黒なのは当然。外交交渉ですから」(自民政調会長稲田朋美)と強弁するほど、野党各候補は「情報隠しだ」と批判のボルテージを上げた。元農林水産省職員の舟山は農政がライフワーク。「国会審議で第1の照準を合わせるのはTPP」と力強く語った。
 首相安倍晋三は「最大の争点は経済政策、アベノミクスであります」と東北各地で繰り返し、劣勢区の逆転に血道を上げた。
 「非正規雇用が増え、格差が拡大しているだけだ」。青森選挙区(改選数1)の民進新人田名部匡代(47)は、真っ向からアベノミクス批判を展開した。
 急速な少子高齢化が進む東北。購買力がある若者が減り、経済は縮小する。田名部は「息子を大学にやりたくても余裕がない父親に会った。都会ばかりが潤う」と政策転換を訴えた。
 株価上昇に傾注するアベノミクスの効果を実感できない有権者の声を田名部は拾い続けた。11日午前0時すぎ、万歳で沸き返る青森市の事務所で「届かぬ願いを私は届ける」と叫んだ。
 政治の光が陰り、しぼむ人々の暮らし。野党共闘が花開く土壌は、東北各地に広がっていた。(敬称略)


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2016年07月12日火曜日


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