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<メガホン>最初で最後の夏

 3年間の思いを1球に込めた。仙台市の楽天Koboスタジアム宮城で10日に開幕した全国高校野球選手権宮城大会。初日の第1試合前の始球式に臨んだ柴田農林高川崎の投手藤枝晋輔(3年)にとっては、最初で最後の夏のマウンドとなった。部員不足で一度も出場できなかったからだ。
 「マウンドに立ち、この3年間を思い出した」と胸の内を明かす。公式戦での登板がかなわない中、「野球が好きだから」と練習に明け暮れた。とはいえ、本年度の全校生徒93人で男子は4割ほどしかおらず、部員は7人。諦めかけた約1カ月前、宮城県高野連から始球式の連絡を受けた。
 「あこがれの舞台に立てる」。驚きとともに喜びがこみ上げた。体の切れを良くするため、ランニングや食事制限で91キロあった体重を5キロ落とした。つらい時は仲間に「頑張れ」と励まされ、投球練習で打席に立つなど手伝ってもらった。
 支えへの感謝を込め、真ん中を狙って投じた1球は、左打者の外角高めに外れた。「緊張したが、試合に出られなかった仲間との最高の思い出ができた。どんなことでも最後まで一生懸命やれば、その努力は報われることを学んだ」。最後の夏に幕を下ろし、最高の笑顔で話した言葉が忘れられない。(原口靖志)


2016年07月12日火曜日


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