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<参院選宮城>共闘の間合い 試行錯誤

共産、社民の県組織幹部らと一緒に万歳する桜井氏(中央)=10日午後11時10分ごろ、仙台市青葉区

◎苦闘の決算(下)巻き返し

<解かれた「封印」>
 相乗りの小船は、激戦を制した歓喜に沸き続けた。
 参院選宮城選挙区(改選数1)で4選を果たした民進党現職の桜井充氏(60)は10日午後11時、仙台市青葉区の事務所で顔をしわくちゃにしながら何度もVサインを示し、野党共闘を支えた共産、社民両党の県組織幹部らとがっちり握手した。
 共闘効果は得票数にくっきりと表れた。自民党現職の熊谷大氏(41)を4万以上引き離す51万。県内の比例票で計13万を獲得した共産、社民支持層が当選ラインに押し上げた。
 桜井氏は過去3回の参院選を旧民主単独で戦った。今回は共産、社民とがっちり手を組み、与党との激突を見据えて3月から準備に突っ走ってきた。
 自らを「野党統一候補」と呼び、民進公認を「封印」。相手陣営からの批判に、序盤は「共産と組んで何が悪いのか」と強弁していたが、遊説スタイルは選挙期間中に変調を来した。
 当時の共産政策委員長による「防衛費は人を殺すための予算」発言を巡って露骨な攻撃に出た自民に対し、防戦を余儀なくされた。「共産の声掛けが鈍っている」「自衛隊の家族から『応援できない』と言われた」などの話が錯綜(さくそう)し、選対本部に動揺が広がった。
 2日、仙台市中心部であった街頭演説。桜井氏は「大企業優遇の安倍政権か、われわれ民進と桜井を選ぶのか」と訴え、「共産」には触れずにマイクを置いた。複数の後援会幹部が「野党共闘よりも、3期18年の実績を強調した方がいい」と進言を重ねていた。

<失速の苦い記憶>
 自民が放つ圧倒的な組織戦の圧力にじりじりとした停滞感が漂う中、動きが鈍った野党共闘のエンジンに代わってギアを上げたのは、民進の地方議員だった。
 前回参院選(2013年)で、旧民主公認の岡崎トミ子元参院議員が終盤に大票田・仙台で失速し、新人に逆転を許した苦い記憶がある。「あの時の轍(てつ)を踏むな」の号令で、当時を知る県議、市議らが4日朝から各地の駅前に立ち、票の掘り起こしに当たった。
 陣営と共に危機感を共有した桜井氏の演説も「講義のような理詰めの批判」(民進県議)から、有権者への訴え掛けに変わった。介護や育児など年齢層に合わせてテーマを巧みに選択し、再び風をつかんだ。
 一進一退の共闘態勢の果てに勝利を決めた10日、安住淳県連代表は安倍晋三首相のフレーズを引き、「この道は間違っていない」と語り、迷いを振り払った。次期衆院選への対応に加え、県内では来年に仙台市長選、知事選と政治日程が控える。
 県連幹部は「選挙の戦い方に距離があったのは事実。相手陣営に寄り合い所帯の弱点を突かれるなど、難しさも浮き彫りになった。乗り越えるべき課題は多い」と気を引き締める。(報道部・桐生薫子)
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 改選数が2から1に減り、現職同士が生き残りのデッドヒートを繰り広げた参院選宮城選挙区(改選数1)は、民進党の桜井充氏(60)が、再選を狙った自民党の熊谷大氏(41)を振り切り、4選を果たした。「野党共闘」と「1強自民」が真正面から激突した18日間と、雌雄を決した軌跡を振り返る。


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2016年07月13日水曜日


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