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<南相馬避難解除>商業再生 厳しい道のり

店舗再開の準備を進める渡部さん夫妻。商圏人口の行方が気掛かりだ

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が12日に解除された福島県南相馬市小高区では、地域経済の行方も焦点となる。1万を超えていた人口の急減は避けられず、将来的な商圏規模は不透明さを増している。商工関係者の間には「帰還状況によっては廃業が増えかねない」との危機感が強まっている。
 「経営が難しくなるのは間違いない」。小高区の渡部信さん(65)が声を落とす。
 中心商店街に店を構えて約40年、帽子やかばんを販売してきた。内装工事を終え、今夏を目標に再オープンの準備を進める。
 宮城県南での催事販売に力を入れてきたが、売り上げの4割は店舗での取り扱いが占めていた。地元需要の多くは中高生ら子どもたち。子育て世帯の移住が商売の屋台骨を直撃する。
 人口動向を見据え、今後は衣料品を増やして売り上げの底上げを図る考えだ。渡部さんは「定住人口の増加なくして商業再生はない。人が集まる施策を展開してほしい」と訴えた。
 小高商工会によると、加盟355業者のうち、区内で再開しているのは12%の42業者にとどまる。復興需要を見込める建設業が目立つ一方、小売り関連の動きは鈍い。
 平田広昭会長は「商圏規模が見通せず、再開か廃業かを決めかねている事業者は多い。商店街を再整備するなどして、事業再開と人口増の好循環を生みたい」と話す。
 小高区には原発事故まで計5店のスーパーがあったが、いずれも再開の見通しが立たない。市は小型の仮設店舗を設置しているが、品ぞろえは限定的。住民は解除後の生活を不安視する。
 福島市に避難する松本勇さん(65)は義母、妻と来年の帰還を予定する。かつて日用品や食品は地元で買いそろえていた。
 「車を運転できるうちは遠出もできる。でも、地元で生鮮食品などが買えなければ老後の暮らしは成り立たない」。松本さんが口調を強めた。


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2016年07月13日水曜日


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