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<奔流乱流1強政治>力任せの組織戦 不発

落選が決まり険しい表情を見せる岩城(中央)。左は元復興相の自民党福島県連会長根本匠=11日午後10時40分ごろ、福島市の事務所

◎参院選東北(中)自民惨敗

 「西高東低」の情勢を、力任せに覆そうとした自民党の思惑は完全に外れた。
 「安倍晋三首相ら党幹部に連日応援に来てもらいながら、期待に沿えなかった」。現職閣僚が目を真っ赤にして敗戦の弁を述べた。
 10日夜、福島選挙区(改選数1)で落選が決まった自民現職の法相岩城光英(66)は、福島市の事務所で深々と頭を下げた。

<復興実感できず>
 東京電力福島第1原発事故から5年が過ぎても約9万人が県内外に避難するなど、今も苦しみの中にある福島。「福島の復興なくして日本の復興なし」と言い続けてきた安倍政権にとって、絶対負けられない選挙区だった。
 党本部は共闘を組む野党に「大空襲のような戦い」(民進党県連代表代行・金子恵美)を仕掛けた。首相をはじめ官房長官菅義偉ら幹部が続々と福島に入り、安倍は「福島の完全復活を目指す」と手形を切った。
 結果は野党に約3万票差をつけられる敗北。復興を実感できない被災者のいら立ちは、陣営の想定を超えた。岩城は「復興政策が十分理解されなかった」と認めた。地盤の浜通りで伸び悩み、大物投入は票の上積みにつながらなかった。

<拒否反応上回る>
 「農業分野に対する反発にのみ込まれた。有権者に『打倒安倍政権』『反アベノミクス』で判断する雰囲気があった」。青森選挙区(改選数1)で4選がかなわず沈んだ自民現職山崎力(69)は10日深夜、恨み節にも似た敗因分析を口にした。
 青森は衆院小選挙区の四つ全てを自民が占める牙城だ。安倍ら党幹部は期間中、相次いで県内に入り、県全域で強力な援護射撃を展開。政権の成果と継続の大義を声高に訴えた。
 ふたを開ければ地元の青森市でさえ、八戸市が地盤の野党候補に競り負けた。陣営は、政権の主張と有権者の実感との間にあるずれをかみしめざるを得なかった。
 選挙戦終盤、自民は当時の共産党幹部が発した失言を集中的に攻め立てた。
 「東日本大震災で頑張った自衛隊の予算を『人殺し予算』と言う人たちと組む候補を応援するのか」。岩手選挙区(改選数1)で3日に応援に入った党農林部会長小泉進次郎は何度も繰り返した。野党支持層を引きはがしに掛かったが、結果は不発だった。
 公認の新人候補が敗れた後、自民岩手県連会長の鈴木俊一は「長い目で見れば有権者に評価されない」と野党共闘の批判を続けた。傍らで県連幹部は「自民への拒否反応の方がはるかに強かった」とうなだれた。
 「力強い信任をいただいた」。首相は11日、党本部で記者会見し、選挙結果に自信を深めた。失地となった東北の現実からは目を背けたままだ。(敬称略)
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 第24回参院選は与党が改選過半数の61を大きく上回る議席を獲得し、改憲勢力が改憲発議可能な3分の2を占めた一方、東北6選挙区は与党が1勝5敗で惨敗した。全国を席巻した「1強」の奔流と、東北各地に渦巻いた野党の乱流。ねじれた戦いの実相に迫った。(参院選取材班)


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2016年07月13日水曜日


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