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<原発事故>避難先で励まし合い「最後の夏」

双葉翔陽高陸上部 武田弦輝君=4日、いわき市のいわき明星大
双葉高柔道部 菅野裕生君=4日、いわき市のいわき明星大

 東京電力福島第1原発事故で福島県いわき市に避難し、本年度限りで休校する福島県立の双葉翔陽高(大熊町)と双葉高(双葉町)の最後の運動部員が今週末、最後の大会を迎える。3年生で双葉翔陽高陸上部の武田弦輝君(17)と双葉高柔道部の菅野裕生君(17)。ともに1人で練習を重ねてきた。2人は3年間、避難先の同じ校舎で学び、同じ寄宿舎で生活。学校も競技も違うが、「部活仲間」として励まし合ってきた。
 2人が臨む試合は、一般・大学生らも出場する県総合体育大会。武田君は15日の男子100メートル、菅野君は17日の少年男子先鋒(せんぽう)の部(60キロ以下)に出場する。
 大熊町出身の武田君は原発事故で会津若松市に避難したが、翔陽高に通っていた姉の勧めで入学した。本格的に陸上を始めたのは入学後。1年生の夏に部員が1人となり、顧問の橋本圭介教諭(44)にマンツーマンで指導を受けた。
 今年1月に右足首の靱帯(じんたい)を痛めて3カ月間、本格的な練習ができなかったが、今大会の地区予選で自己ベストの11秒83を記録。今は後半のスピード維持に重点を置いて練習する。
 「入部当初は13秒台だった選手。2年間、1人でよく頑張った」と橋本教諭。武田君は「最後に自己ベストを出し、悔いのない形で終わりたい」と話す。
 柔道初段の菅野君は南相馬市出身。父親が小高工高時代に柔道部で指導を受けた山岡邦秋教諭(59)に教わりたいと、自ら双葉高を選んだ。背負い投げが得意技だ。
 昨年夏から部員1人。6段の山岡教諭相手の乱取りのほか、1人での打ち込み、基礎体力づくりに黙々と取り組む。週末や冬休みには、いわき海星高などで稽古を積ませてもらった。
 「精神的につらいときもあったが、自分で決めた道なので最後までやり通そうと思ってきた。山岡先生の厳しく熱い思いに応え、全てを出し切る」と菅野君。山岡教諭は「とにかく一生懸命な選手。悔いのない試合をしてほしい」と語る。
 親元を離れて暮らす2人はいわき市内の寄宿舎で暮らし、「ゲンキ」「ヒロキ」と呼び合う。「寄宿舎でお互いの練習の話をするなど、一緒に頑張ってきた」と武田君。菅野君は「2人で最後を飾りたい」と意気込む。

[双葉翔陽高と双葉高]校舎のある大熊、双葉両町は原発事故で全町避難が続き、両校の校舎も帰還困難区域にある。事故後は、いわき明星大(いわき市)の同じ建物の3階に双葉翔陽、2階に双葉が入居。現在の生徒は3年生のみで、双葉翔陽は12人、双葉は11人。両校の運動部はソフトテニス部が6月で活動を終了。双葉高硬式野球部は連合チームで全国高校野球選手権福島大会に出場し、9日に敗退した。


2016年07月14日木曜日


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