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<奔流乱流1強政治>衆院選 共に不安残す

投開票日の夜、岩手選挙区で勝利し、万歳する木戸口陣営
青森選挙区で敗れ、頭を下げる与党・山崎氏(左写真)。各党の視線は次期衆院選に向かう

◎参院選東北(下)二つの魂

 自民1強の岩盤に打ち込まれた1本のくさびが「次」への不安を増幅させる。
 青森選挙区(改選数1)で、民進党新人田名部匡代(47)に競り負けた自民党現職山崎力(69)。組織力で逃げ切りを図った党県連の目算は野党共闘の抵抗で狂い、県選出の衆参議席の独占は崩れた。

<巨大与党に衝撃>
 「影響は当然ある。地方に応じた対策を講じなければ、これまでの勢いを失いかねない」。自民青森県連筆頭副会長成田一憲は、ため息交じりに次期衆院選への懸念を口にした。
 全国の1人区で21勝11敗の圧勝を収めたにもかかわらず、東北は1勝5敗。その惨状は、巨大与党に衝撃を与えた。
 安倍政権の看板にどっぷり依存し、自前の後援会がひ弱な現職の多くが淘汰(とうた)された。地方議員からは「国政選挙の候補者選びのシステムを見直す必要もある」との声も噴き出す。
 動揺する与党をよそに、野党幹部からは次期衆院選での共闘を見据えた発言が目立つ。「最初の挑戦としては効果があった」(共産党委員長志位和夫)との評価がある一方、現場は複雑な思いを抱える。
 無所属新人木戸口英司(52)が勝った岩手選挙区(改選数1)。共産が選挙区の公認候補を取り下げて比例に回し、木戸口と連動したのに比べ、民進、社民両党の動きは限定的だった。
 「『衆院選も同じように』とはいかない」と民進岩手県連幹事長の階猛(衆院岩手1区)は冷ややかだ。参院選と衆院選の性格の違いを挙げ、「共闘は政権選択選挙ではないから成り立ちやすい側面があった」と慎重に分析する。
 衆院選は具体的な政権像が問われる。党の理念や政策などの「小異」を飲み込んだままの共闘は通用するのか。生活の党代表小沢一郎(衆院岩手4区)が構想した比例代表統一名簿は参院選前に頓挫した。先行きの不透明感は拭えない。

<共闘 手綱緩めぬ>
 参院選翌日の11日、首相安倍晋三はすぐさま改憲論議の封印を解き、実現への意欲をあからさまにした。衆院に加え、参院でも憲法改正に賛同する勢力が全議席の3分の2を占めたことで、次期衆院選は遠のいたとの観測が広がる。
 自民岩手県連会長鈴木俊一(衆院岩手2区)は「年内、来年初めに衆院選をすればせっかくの3分の2を手放すことになる」と話し、「先延ばし」との見方を示す。「選挙後を語れない勢力を国民は信任しない」と野党をけん制しながら、地盤の立て直しを急ぐ。
 民進宮城県連代表安住淳(衆院宮城5区)は「共闘の流れを止めた時点で総選挙を打たれる」と警戒し、手綱を緩めない。「1強多弱」の構図から抜け出せない中、政策のすり合わせを含めた野党連合の深化に局面打開を探る。
 東北で再起への足場を組んだ野党連合、巻き返しを期す与党。二つの塊がぶつかり合った激流は、次期衆院選を見据えた駆け引きへとなだれ込んでいく。(敬称略)
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 第24回参院選は与党が改選過半数の61を大きく上回る議席を獲得し、改憲勢力が改憲発議可能な3分の2を占めた一方、東北6選挙区は与党が1勝5敗で惨敗した。全国を席巻した「1強」の奔流と、東北各地に渦巻いた野党の乱流。ねじれた戦いの実相に迫った。(参院選取材班)


2016年07月14日木曜日


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